2017 Fiscal Year Research-status Report
両面性電力市場におけるプラットフォーム戦略に関する研究
Project/Area Number |
16K00029
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
徐 ふぁ 筑波大学, ビジネスサイエンス系, 教授 (40253025)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 電力市場 / 動的ゲーム / インセンティブ戦略 / シュタッケルベルグゲーム |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、送配電事業者、電力供給事業者と電力需要家が参加する電力市場を両面性電力市場として捉え、送配電事業者のインセンティブメカニズムデザインや電力供給事業者のインセンティブメカニズムデザインなどを研究するものである。 日本の送電網は九つの小さなネットワークに分かれている。各ネットワークにおいて、資源提供者として、一つの主な電力供給事業者が多数の小売電気事業者に対して電力を提供する。平成29年度に、まず、一つのネットワークにおいて、電力供給事業者が小売電気事業者に対してインセンティブメカニズムデザインのための理論的研究を行った。この中に、再生可能エネルギーによる逆潮流の影響を送電網への外乱とみなして、外乱や不確定要素が含まれる大規模電力システムにおけるインセンティブシュタッケルベルグ(Stackelberg)戦略を構築した。実システムに応用するための計算アルゴリズムを提案した。次に、九つのネットワークをまとめて、各々のネットワークの電力供給事業者をリーダー(Leader)として、小売電気事業者をフォロワー(Follower)とする複数のリーダーと複数のフォロワーを持つ確率システムのインセンティブシュタッケルベルグ戦略を研究した。リーダーのナッシュ(Nash)均衡とフォロワーの協力(Pareto)均衡または非協力(Nash)均衡を可能にするリーダーのインセンティブシュタッケルベルグ(Stackelberg)戦略を構築した。実システムに応用するための計算アルゴリズムを提案した。 上記以外の研究として,動的ゲーム領域におけるいくつかの未解決の問題も研究した。その中、外乱の影響に対する制約を持つ弱結合大規模線形確率システムのための動的ゲームに関する研究が九つのネットワークから構成する全国の送電網の研究に関連するものである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実績の概要に示されたように、多数の研究結果が得られた。
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年度に、送配電事業者の送電網拡大のために電力供給事業者が収益を配分することの妥当性について分析する。その結果によって、送電網への投資インセンティブ戦略につながる。具体的には、動的ゲーム理論を用いて、電力供給事業者の収益の送配電事業者と電力供給事業者間での動的最適収益配分問題を研究する。送配電事業者が託送電力増に応じた投資を行いつつ、電力供給事業者の収益を最大化する送配電事業者と電力供給事業者間の利益配分、及び投資水準を決定する確率最適制御問題として定式化する。利益配分条件は送配電事業者と電力供給事業者間で締結される契約によって定められる。電力供給事業者の最適利益配分戦略と投資インセンティブ戦略が確率最適制御問題としての解として求められることを示し、その解の存在に関する十分条件を与える。数値シミュレーションによって実際に解が得られることを示すとともに、電力供給事業者の収益配分のないケースとの比較により、収益配分に妥当性のあることを示す。
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Causes of Carryover |
(理由)平成29年度、概ね使用計画のとおり研究費を使用した。しかし、平成29年度、香港理工大学への研究出張に、先方から旅費が支給された。したがって、平成28年度に生じた未使用額が平成30年度に繰越された。
(使用計画)平成30年度に、従来の使用計画より多くの研究出張、国際会議への参加を計画し、共同研究や研究成果の発表を行う。
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Research Products
(7 results)