2018 Fiscal Year Annual Research Report
大規模金融データに対する局所定常時系列因子モデルの理論と応用
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16K00042
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
蛭川 潤一 新潟大学, 自然科学系, 准教授 (10386617)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 局所定常 / 因子モデル / 次元縮小 / 単位根過程 |
Outline of Annual Research Achievements |
大規模金融データに対する次元縮小のための局所定常時系列因子モデルの理論の整備を行うために,まず準備として,有限次元の局所定常時系列因子モデルの統計的漸近理論の整備を行った。共分散行列を重ねた非負定値行列の単純な固有値解析を用いて,因子の数と因子負荷量の両方についての推定量を与えた。既存の多くの手法は,推定量の一致性までしか調べていないため,定常な場合と非定常な場合で,一様な結果となっている。そのため,非定常性が推定量にどのような影響を与えるかを判断することができない。この問題を解決するために,提案した推定量の一致性だけでなく,漸近正規性を示した。推定量の漸近分散を調べることで,局所定常時系列因子モデルを仮定した場合と定常時系列因子モデルを仮定した場合の提案した推定量の性質の違いを明らかにした。今後は,得られた基礎理論を時系列の次元の数と標本の数の両方を無限大に近づける設定の場合に拡張し,高次元時系列データの次元縮小に応用する。 また,1次の自己回帰過程は,自己回帰係数の絶対値が1に近いとき単位根周辺過程と呼ばれる。特に,1よりも大きいけれど,標本の数が多くなるにつれて1に緩やかに近づいていく場合に,緩やかに爆発する過程と呼ばれる。金融時系列データの特徴である時間と共に相関構造が滑らかに変化していく様な現象を記述するには,局所定常イノベーションが適している。局所定常イノベーションを持つ緩やかに爆発する過程の漸近理論を導いた。緩やかに爆発する過程により,バブル期の金融時系列データを記述し,バブル期の始まりと終焉の時期を識別するのに応用した。今後は,大規模金融データに対する局所定常時系列因子モデルをバブル期の前,中,後に,それぞれあてはめることにより,何故バブル期が生まれ,はじけたかの要因を明らかにする。得られた結果を将来のバブル期の予測に応用する。
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Research Products
(4 results)