2018 Fiscal Year Research-status Report
ネットワーク統計学の開拓と災害・防災ネットワーク分析への展開
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16K00043
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
寒河江 雅彦 金沢大学, 経済学経営学系, 教授 (20215669)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤生 慎 金沢大学, 地球社会基盤学系, 准教授 (90708124)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | ノンパラメトリック統計 / 方向統計 / 大規模災害 / 国民健康保険DB |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、ネットワーク統計解析の基本的なツールとなる方向統計学におけるノンパラメトリック統計理論の構築でいくつかの成果を挙げることができた。具体的には方向統計学におけるカーネル確率密度の推定におけるバンド幅推定法の提案とその理論特性を明らかにした。また、方向統計学におけるノンパラメトリック回帰では代表的なフォン・ミーゼス分布と巻込みコーシー分布をカーネル関数として利用した時の理論特性の違いを明らかにした。上記の2編は英文学会誌に掲載された。また、方向データの度数データに基づいた推定問題で用いるローズダイアグラムの理論的な特性と最適な角度幅推定法を提案し、その漸近的な性質を導いた。
応用面では、共同研究者の藤生慎氏が精力的に大規模災害時の救援者の分析で国民健康保険DBを利用し、従来の災害時のハザードマップと避難所への到達圏解析に脆弱救援者の推定、避難行動要支援者の分析等を新たに加えた分析を行った。具体的な事例として、石川県羽咋市、埼玉県鳩山町のケースで詳細な分析を行った。具体的には、大規模地震災害時における地域の共助ポテンシャルの基礎的分析を石川県羽咋市のKDBデータを活用して行った。また、大規模地震を想定した重大な疾患を持つ避難行動要支援者の利用可能な避難施設を検討する手法の考察については、鳩山町の国民健康保険データベースを活用して分析を行った。また、大規模地震災害時における地域の共助ポテンシャルの基礎的分析では、石川県羽咋市のKDBデータを活用している。上記のような研究成果を国際会議で2編、論文誌5編にまとめている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ネットワーク統計分析法は、方向統計学のノンパラメトリックモデルを基礎として構築を行う。そのための方向統計におけるノンパラメトリックモデルとして、これまでにカーネル密度推定の理論とカーネル回帰推定の理論と方向データのヒストグラム(ローズダイアグラム)推定の理論を構築した。この中で上記の3つの研究に共通する未解決の問題であるバンド幅推定法、その漸近的な性質を導いた。以上のことから、最終年度はネットワーク統計分析の方法論を構築するための基礎的ツール群は整備されたものと考えている。加えて、災害時の避難所への到達圏解析、災害時の避難行動要支援者の推定を国保DBを用いることで実現できた。最終年度は、ネットワーク統計解析法を用いることで到達圏解析の精度を高めること、災害の脆弱性を要介護DB,後期高齢者DB、国保DBを用いることで災害弱者の詳細な分析にネットワーク統計分析法を組合せた新しい解析ができる環境が整った。 以上の点から、本年度の進捗状況はおおむね順調であると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
ネットワーク統計理論は、避難経路の到達時間の推定、避難候補者の健康、病気、要支援度を用いて、到達困難者の推定、避難所再配置の検討、避難時の支援体制、救援・避難支援の優先順位を推定する問題へと現実の問題を解くために重点的に研究を行っていく。 そのための具体的なツールとして、ネットワーク統計解析のツールを地図情報の表示システムに組み込むこと、到達圏解析の統計モデリング、国保DB、介護保険DB、後期高齢者DBのビッグデータの分析をへの高度な利用を検討する予定である。 現在、上記の公的健康医療のデータベースに加え、協力を得ている自治体から行政情報、住民情報を厳重なセキュリティのもとで提供してもらうことになり、更なる住民の災害時の分析(独居高齢者、免許返納者、空き家情報、通勤・通学での昼夜間の動態等のデータ群を用いた分析まで進める計画である。
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Causes of Carryover |
本年度の3月26-27日に研究代表者(寒河江雅彦、金澤雄一郎)として、第20回ノンパラメトリック統計解析とベイズ推定のシンポジウムを国際基督教大学において、開催した。本科研費を講演者旅費及び報告書印刷費として当初より、計上していたが、講演者の旅費申請が予定よりも少なく、次年度への繰越金が発生した。
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Research Products
(11 results)
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[Journal Article] Analysis of Changes in Elderly People& Levels of Long-Term Care Needs and Related Factors With a Focus on Care Levels II and III2018
Author(s)
Yanagihara Kiyoko, Fujiu Makoto, Sano Shizuka, Takayama Junichi, Nishino Tatsuya, Tamamori Yuya, Sagae Masahiko , Samuta Hikaru, Hirako Kouhei, Sinohara Moeko and Tujiguti Hiromasa
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Journal Title
Journal of wellness and health care,
Volume: 41
Pages: 93-103
Peer Reviewed
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