2018 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
16K00046
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
鎌谷 研吾 大阪大学, 基礎工学研究科, 講師 (00569767)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
|
Keywords | モンテカルロ法 / ベイズ統計学 / 多変量解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
多次元・大標本・複雑なモデルの解析に有用な,対称な提案を用いる次世代モンテカルロ法を研究した.研究三年目の2018年度では2つに絞って研究を進めた. まず一つの方向は,非対称なマルコフ連鎖モンテカルロ法の理論的解析である.非対称なマルコフ連鎖モンテカルロ法を学ぶことで,対称性の意義がより明確になる. 非対称な確率過程であるPiecewise determinisitc Markov processes (PDMP)を用いたモンテカルロ法に対し,U. Warwick (UK), TU Delft (Netherlands)の研究者とともに初めて高次元解析に成功し,現在投稿中である(arXiv:1807.11358).引き続き,PDMPに対する異なった視点からのアプローチでの解析を行っており,次年度中に完成を目指す. また,第二の方向はMpCN法の発展である. MpCN法は数値計算と,高次元漸近論,エルゴード理論によって,従来手法よりも計算効率が高いことが示されていた. それに加え,行列空間への発展をUCL (UK)の研究者と,適合的手法をGoogle, Warwick U. (UK)の研究者と,またスライスサンプラーへの応用をU. Gottingen (Germany)の研究者と進めた.最初の2つの研究に関しては,主たる部分は完成しており,また最後の研究に関しても方向性はできている.次年度での完成を目指す.以上の2つのメインの研究だけでなく,スケーラブルなベイズ統計手法の解析もNUS (Singapore),九州大学の研究者とともに進めている.こうした研究成果の発表をTaipei, Singapore, Manchester, Pisa, Gottingen, Rome などで行った.また,ミニシンポジウム,シンポジウムの共同主催をTaipei, Singaporeで行った.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究も三年目に入り,当初計画の発展部分で大いに進展した.当初計画には無かった,Piecewise determinisitc Markov processes (PDMP)に関する研究が大いに発展し,現在論文を投稿中である. このトピックはローザンヌでのモ ンテカルロ法に関するミニシンポジウムで初めて知った,非常に新しいトピックである.本年度に共同研究が大いに発展した. TU Delft (Netherlands)の研究者を招聘して,さらに従来と異なる視点でのアプローチの研究も進んだ.年度末にU. Gottingen, U. Warwick, UCLを訪問し,新しい研究をスタートしたり,進行中の研究を議論し,研究の推進という面では当初計画以上に進んでいると言える.次年度も学会でのセッションの開催が複数予定されており,共同研究をより促進したい.一方で,年度内に完成途上であるいくつかの研究の完成を目指していたが,それは次年度に持ち越された.そのため,全体としては概ね順調とした.
|
Strategy for Future Research Activity |
今後は本年の研究から引き続き,対称な提案を用いるモンテカルロ法の適合的手法などの共同研究をすすめる. そのうちいくつかの研究は次年度の早い段階に終えたい. 関連する次の共同研究も進んでおり,これらの共同研究をメインに進めていく. パレルモでPiecewise determinisitc Markov processesに関する学会のセッションを企画しており,ここで最新の研究の動向を探り,また新しい研究につなげたい.
|
Causes of Carryover |
次年度にシチリア等,遠方での会議や,Warwick U., TU Delft, Oxford からの招聘を予定している上,年度末に教育業務を兼ねた一ヶ月ほどの渡欧があり,当初計画から さらに予定が順延されたため.
|