2016 Fiscal Year Research-status Report
臨床試験の効率化と迅速化に向けた試験デザインの開発
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16K00058
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
寒水 孝司 東京理科大学, 工学部情報工学科, 准教授 (80408723)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 医薬品開発 / 臨床試験デザイン / 標的部分集団 / 多重性 / 生存時間解析 / 標本サイズ設計 / 累積データ / Bayes法 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,臨床試験の効率化と迅速化を達成するために,3つの研究課題を設定している.本年度の各課題の研究実績の概要は次のとおりである. 課題(1) 複数の評価項目と部分集団解析を設定する臨床試験における標本サイズ設計:全体集団と標的部分集団における試験治療の有効性を同時に評価するための多重比較法として,Constant function法(以下,CF法)と4A function法(以下,4AF法)をとりあげた.2つの方法の第1種の過誤確率と検出力を計算し,CF法の検出力が4AF法の検出力を上回る状況を明らかにした.得られた成果を国内学会(2017年3月(ポスター))で発表した. 課題(2) 生存時間解析を主解析とする臨床試験における標本サイズ設計の感度解析:標本サイズ(試験の参加者数)と試験期間の組み合わせを視覚的に捉えるための方法(両者の数理的な関係の導出と図示)と,試験期間の不確実性を評価するための方法(試験期間の確率密度関数の導出と図示)を開発した.得られた成果を,国際学会(2016年8月(ポスター))と国内学会(2016年11月(口頭),2017年3月(口頭))で発表した. 課題(3) 臨床試験の累積データを新規試験データに組み込む方法の実用化:既に実施された臨床試験のデータ(累積データ)を新規試験データに併合して,試験治療の有効性をBayes流に評価する方法が提案されている.ところが,両データに不均一性が生じると,第一種の過誤確率が有意水準以下にならないことがある.この問題を解決するために,(1) 両データの不均一性に応じて累積データを併合する割合を決める方法と,(2) 両データの不均一性に応じて試験群と対照群の成功確率の差の事後分布を調整する方法を提案し,その性能を評価した.得られた成果を国内学会(2017年3月(ポスター))で発表した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の目標をほぼ達成できた.初年度は情報収集と基礎的な検討を予定していたが,国内・国際学会での成果発表が4件と当初の予定を上回った.課題(1)については,計画の一部を変更したが,変更後の内容について研究を十分に進めることができた.課題(2)については,研究協力者の助言などにより,予定よりも早く研究を進めることができた.課題(3)については,問題の根本的な解決には至らなかったが,今後の研究の進め方について有意義な結果が得られた.
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの研究成果を踏まえて,各課題について,次のように研究を進める予定である.課題(1)については,標的部分集団を2つ以上設定した場合でも同様な結果が得られるかどうかを確認する.さらに,複数の評価項目を設定する状況に対して,研究成果を発展させる.課題(2)については,これまでの研究成果を論文として学術雑誌に投稿する.さらに,試験途中の結果(試験の参加者の登録状況やイベントの発生状況)に基づいて,試験期間の不確実性を更新する方法を検討する.課題(3)については,階層モデルの枠組みで累積データと新規試験データの不均一性を考慮する方法を検討する.こられの課題に加えて,次年度以降から,2つ(以上)の試験治療と対照治療が設定される多群比較臨床試験に対して,どのような試験デザインとデータ解析法が適当であるかを検討する.本年度に引き続き,研究課題ごとに,卒研配属学生・大学院生を1名以上割り当てて,研究代表者と連携して研究を進める.さらに,国内および海外の研究者との連携を図る.
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Causes of Carryover |
ワークステーションの購入を次年度に変更したこと,外国旅費を1名分多く支出したこと,謝金を支払ったことによる予定額との差額である.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
国内または国際学会で研究成果を発表するための旅費として使用することを考えている.
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