2017 Fiscal Year Research-status Report
動的データに内在するレアイベント性の新規な特徴付けと生体時系列への応用
Project/Area Number |
16K00059
|
Research Institution | Nippon Medical School |
Principal Investigator |
藤崎 弘士 日本医科大学, 医学部, 准教授 (60573243)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
末谷 大道 大分大学, 理工学部, 教授 (40507167)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
Keywords | レアイベント / 分子シミュレーション / 機械学習 / 主成分分析 |
Outline of Annual Research Achievements |
去年度は、分子動力学法によって計算された10残基のペプチドであるシニョリンの時系列を用いて、拡散マップ(diffusion map)による多様体学習を行い、結果的に得られる非線形な座標が構造変化を記述する二面角に対応していることが分かった。また光武亜代理氏(明治大)の緩和モード解析との結果との比較も行い、それらの主要な成分は非常に似ていることが分かった。これらの知見は今後、動的な反応座標を抜き出す上で重要な指針になるものと思われる。またシニョリンやPIN1 酵素に対して、重み付きアンサンブル(weighted ensemble)法を用いた計算も行い、レアイベントのダイナミクスを取り出す試みも行った。その際には、同様の計算を行っている森次圭氏(横浜市大)の協力を仰いだ。その結果、シニョリンに関しては、以前に別の方法で得られた時定数と同じようなキネティックスが求められることが分かった。この結果は現在、化学物理の雑誌J.Chem.Phys.からの依頼原稿としてまとめている。PIN1酵素に関しても、レアイベントを抜き出すためにポテンシャル障壁を小さくしたモデル系で計算を行っているが、実験結果とも近いキネティックスが抜き出せることを確認している。 去年度は、志賀基之氏(原子力研究開発機構)などと共同でレアイベントなどに関する研究会(ワークショップ「レア・イベントの計算科学」)を開催した。国内の若手研究者にレアイベントに関して講演してもらい、参加者が活発な議論を行った。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
多様体学習の一つである拡散マップの有効性は確認し、現在はこれを大きな生体分子であるPIN1酵素やアデニル酸キナーゼに適用しているところである。また重み付きアンサンブル法に関しても、計算コードの基本的な枠組みを作るところは終了しており、シニョリンを用いたテスト計算も終わっている。現在はこのコードの改良を森次圭氏(横浜市大)と行っている。 分担研究者の末谷大道教授とも頻繁に議論しており、末谷氏の専門とするニューロダイナミクスに適用するための準備も引き続き行っている。
|
Strategy for Future Research Activity |
PIN1酵素やアデニル酸キナーゼといった大きな生体分子の構造変化ダイナミクスを記述する反応座標を拡散マップを用いて抜き出すと同時に、そのキネティックスを重み付きアンサンブル法を用いて計算していく。また分担者の末谷大道氏の研究している複雑なニューロダイナミクスの時系列にもこれらの方法論を修正して適用する。
|
Causes of Carryover |
アメリカ生物物理学会に参加し、発表を行ったが、そのための予算の計上が十分にされてなかったため。
|
Research Products
(8 results)