2016 Fiscal Year Research-status Report
省電力セルフタイム回路によるヘテロジニアス無線通信プロセッサ
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16K00082
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Research Institution | Kochi University of Technology |
Principal Investigator |
岩田 誠 高知工科大学, 情報学群, 教授 (60232683)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 計算機アーキテクチャ / 無線通信 / セルフタイム回路 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、ヘテロジニアス無線通信ネットワーク端末における異種・異速度の複数の無線信号系列を多重に処理可能なストリーム信号処理プロセッサの構成法を明らかにするために、マルチユーザMIMO によるマルチモード受信機を想定し、変復調、誤り訂正、MAC を対象に、(1) パイプライン並列処理アルゴリズム、(2) それらを多重に処理可能なストリーム信号処理アーキテクチャ、および、(3) それを構成する高機能メモリ機構と専用エンジンを省電力STP 回路により実現することを目的としている。 研究初年度にあたる平成28年度には、ストリームを単位として処理を駆動する水準のマクロな並列処理性と、ストリームを構成する要素データに対するプリミティブな細粒度の並列処理性を明示的に記述可能なストリーム駆動プログラムの表記法ならびにその解釈実行規則をストリーム駆動計算モデルとして定式化した。また、ストリーム水準でのマクロなプログラム制御ならびに個々のマクロモジュールの実行に必要なストリームを生成するストリームメモリコア、および、個々のマクロモジュールを細粒度並列に実行可能なデータ駆動型プロセッサコアを連携させるアーキテクチャを考案した。さらに、無線通信処理における変復調の高速化の鍵となる、FFTエンジンに関しては、異種異速度の複数の信号系列を多重に処理可能な専用回路構成を設計し、論理合成後シミュレーションの結果、現状の典型的な無線信号を実時間で多重処理できる見通しを得た。以上のことから、次年度以降の全体設計に向けて、おおむね順調に研究が進捗していると考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実績の概要にも述べたように、平成28年度に計画していた、(1)ストリーム信号処理のモデル化、(2)ストリーム信号処理プロセッサアーキテクチャの検討、(3)共通処理用専用エンジンのSTP 実現法の検討、について、モデル化に基づくアーキテクチャの定式化を完了し、専用エンジンのうちFFTエンジンについては実時間処理可能な回路構成を考案し、一次評価を完了できたため、本研究はおおむね順調に進展していると判断している。
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Strategy for Future Research Activity |
平成29 年度は、前年度のアーキテクチャレベルの基礎的検討結果ならびに各専用回路エンジンの論理設計結果を受けて、マルチユーザMIMO によるマルチキャリア通信を前提に予備的評価を実施し、その結果に基づいて、ヘテロジニアス無線通信プロセッサLSI 全体のレイアウト設計を実施する予定である。現在のところ、東京大学VDEC提供のSOTB65nmプロセスを活用する方向で、回路設計作業を実施する予定である。
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Causes of Carryover |
9月の電子情報通信学会ソサイエティ大会(於 北海道大)に出席し、本研究課題に関する情報収集を行う予定にしていたが、天候不順のため航空機が欠航になり出席できなかったため。学会参加費のみ支出して予稿集は入手でき、一次的な情報収集が可能であったため、本研究課題の実施にはほぼ影響はなかった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
本研究課題に関する情報収集あるいは研究打合せのための旅費に充当する予定である。
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