2019 Fiscal Year Research-status Report
生体データと作業履歴に着目したプログラム理解過程の分析
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16K00114
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Research Institution | Nara National College of Technology |
Principal Investigator |
上野 秀剛 奈良工業高等専門学校, 情報工学科, 准教授 (70550094)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | プログラム理解 / 視線移動 / 脳波 / 機械学習 |
Outline of Annual Research Achievements |
去年度までに得られた被験者実験のデータに基づいて,プログラム理解タスクを与えた被験者の脳波と視線移動の関係性について分析を行った.実験ではソースコードと仕様,ソースコードを理解したか確認するための課題文を被験者に提示し,時間制限内に課題文に回答してもらった.去年度までの分析では,タスクを正しく完了(プログラムを理解)できた時にアルファ波が有意に増加するほか,仕様に対する注視の割合が早い時間で低下することが明らかになっていた. 本年度は視線と脳波の時系列変化に着目し,値が大きく変化したタイミングを特徴として学習器を作成することで,タスクの成否を予測することができるか分析を行った.分析では各被験者のアルファ波とソースコードに対する注視割合を5秒ごとの区間に分割し,前区間からの差分が大きい時間帯を求める.さらに注視割合が大きく変化した上位5区間と,アルファ波が大きく変化した上位5区間について,全組み合わせ(合計25個)の区間番号の差(すなわち時間差)を特徴としてランダムフォレストでモデルを作成し,タスク成否の予測を行った. 結果として,予測精度が全体で85.2%と,ランダム試行と比べて明らかに高い精度でタスク成否を推定することができ,視線と脳波を組み合わせることでプログラム理解の様子を自動で判別できる可能性が示唆された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
前年度までの研究結果を発展させ,プログラム理解がうまく進んでいない開発者を識別するための特徴を明らかにし,機械学習を用いた推定の可能性を示すことができた. これは,IDEなどの開発ツールに組み込むことで,支援が必要なタイミングをシステムが把握し,作業を妨害することなく適切な支援を行う機能の開発につながると期待される.
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Strategy for Future Research Activity |
本年度の結果について詳細な分析を行い,より高い精度でタスク成否を予測するための特徴量を明らかにする. また,これまでの視線移動の分析では注視されている文書の種類のみを特徴として用いている. 今後,文書内のブロックや行のような詳細な位置情報と,それらの意味を用いたラベリングを行うことで,より詳細な情報に基づいた分析を行う. 研究結果については,国際会議や論文誌などに報告を行い,研究成果の公開に努める.
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Research Products
(1 results)