2017 Fiscal Year Research-status Report
次世代メモリのソフトウェア・エミュレーション技術の研究
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16K00115
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
広渕 崇宏 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 情報・人間工学領域, 主任研究員 (20462864)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高野 了成 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 情報・人間工学領域, 研究グループ長 (10509516)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 不揮発メモリ / ハイパーバイザ / 仮想マシン / 仮想計算機 / エミュレーション / MRAM / PCM / RRAM |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、次世代メモリが接続された計算機があたかも存在するかの状況をソフトウェア上でエミュレーションする手法を研究する。平成29年度は全体の研究期間3年において2年度目にあたる。
第一に、昨年度プロトタイプを開発した、次世代メモリの性能特性をエミュレーションする技術について、再現誤差をより小さくする方法を検討した上で詳細な性能評価を行った。再現誤差の原因を探るために、ラストレベルキャッシュの詳細な振る舞いを調査するとともに、パフォーマンスカウンタにより取得できる値の正しさについても調査を行った。既存の類似手法と比較する評価を行った結果、読み書きレイテンシの差を考慮できる我々の手法の方が既存の類似手法よりも正確にエミュレーションできることを確認した。類似手法は読み書きレイテンシの差を考慮しないため、アプリケーションの実行時間を余計に(例えば書き込みレイテンシが読み込みレイテンシよりも5倍遅い場合で1.5倍あまり大きく)見積もってしまうことを確認できた。成果を取りまとめて査読付き国際会議にて発表を行った。
第二に、新たなエミュレーション手法を検討するため、Intel CPUが備えるイベントサンプリング機能の適用可能性について調査した。パフォーマンスカウンタよりも詳細にラストレベルキャッシュの挙動を把握できるため、アプリケーションのメモリI/Oをより詳細に分析可能になる。しかし、CPUがサンプリング処理を行う間は、サンプリング用のマイクロ命令が実行されるためアプリケーションがごくわずかの時間であるが停止し、またサンプリング処理のためにCPUキャッシュを利用してしまう。オーバヘッドを評価した結果、1サンプルあたり230-280nsの処理時間がかかり、アプリケーションに対して一定の影響が存在することがわかった。ここまでの成果を取りまとめて査読付き国際会議にて発表を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度より開発してきたエミュレーション手法について、これまでの研究成果を取りまとめて国際会議にて発表できたことは、本研究が概ね順調に進展していることの証左である。
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Strategy for Future Research Activity |
翌年度は3年間の研究期間の最終年度である。エミュレーション手法の改良を検討するとともに、提案技術のプログラムを整理するなど研究成果の取りまとめを行う。
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Causes of Carryover |
既存のDRAMを置き換える次世代メモリに近い技術として、当初今年度中にIntel製のメモリモジュール(3D XPoint)を購入する予定を立てていた。しかし、本研究で有用なDIMMインタフェースに対する製品が翌年度の販売となったため、今年度の購入を見合わせた。また、国際会議での発表に関して当初の予想に反して所属組織から予算支援を得ることができたため未使用額が生じた。次年度、メモリモジュールの購入や成果発表等の費用に充足する。
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Research Products
(4 results)