2016 Fiscal Year Research-status Report
時間空間相関を考慮した無線ネットワークトモグラフィ
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16K00124
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
松田 崇弘 大阪大学, 工学研究科, 准教授 (50314381)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | ネットワークトモグラフィ / 圧縮センシング / 行列再構成 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,エンド-エンド間のパケットの振る舞いからネットワーク内部の状態を推定するネットワークトモグラフィについて検討している.これまでの研究では,ネットワークの内部状態が時間的・空間的に独立であるという環境の下で動作する手法を提案してきたが,本研究の最終的な目標は,時間的・空間的に相関のある環境で動作するネットワークトモグラフィ手法を提案することにある. 本研究では,ネットワーク層の通信品質を推定するネットワーク層のネットワークトモグラフィと,物理層の伝搬特性を推定する物理層のネットワークトモグラフィの二種類について検討している.本年度は,本研究で検討しているネットワークトモグラフィ手法の一つである物理層ネットワークトモグラフィを中心に検討し,提案した手法がうまく動作するかの基本的な検証をシミュレーション実験により行った.空間相関のある伝搬路において,伝搬路推定を行うための信号と伝搬路特性との関係を伝搬路の地理的な類似性を取り込んで定式化し,トモグラフィの問題を線形逆問題として定式化した.この問題を圧縮センシングあるいは行列再構成の技術を使って推定するためのアルゴリズムについて検討し,シミュレーション実験により評価した結果,良好な推定結果が得られた.本手法を時間方向での推定が可能なように拡張し,さらには逐次推定を行うことにより,時間相関のある伝搬路での推定についても可能であると考えている.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では,物理層のネットワークトモグラフィとともに,ネットワーク層での通信品質を推定するネットワークトモグラフィについても検討している.時間・空間相関のある伝搬路上に構築されたネットワークにおいて,ネットワーク層のネットワークトモグラフィを実現するためには既存の手法の拡張では難しいことが分かったため,検討中である.しかし,物理層のネットワークトモグラフィについては基本的な性能評価により良好に動作することが分かったため,全体としては概ね順調に進展していると考えている.
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Strategy for Future Research Activity |
物理層のネットワークトモグラフィにおいて,空間相関のある伝搬路上での手法を提案したが,空間相関のある伝搬路と局所的な性質を持つスパースな伝搬路が混在するような環境が想定される.今後はこのような環境においても動作する手法を検討していく. また,時間的相関のある伝搬路を想定し,逐次的に伝搬路を推定する物理層のネットワークトモグラフィについても検討する.具体的には,ベイズ理論に基づく逐次推定手法等を適用することを考えている.
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Causes of Carryover |
当初提案手法のシミュレーションを行うための計算機を購入する予定であったが,本年度は提案手法の新規性,有効性を確認するための情報収集が中心であった.従って,行った実験であったため,予定よりも支出が少なくなった.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
本年度は提案手法の性能をより詳細に検証するための計算機を購入し,大規模なシミュレーション実験行っていく予定である.また得られた研究成果の学会発表および提案手法や関連する研究の情報収集を行うための出張旅費を中心に助成金を使用していく予定である.
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