2016 Fiscal Year Research-status Report
モデル・情報の不完全な環境下における自己モデル化を用いたネットワーク制御手法
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16K00125
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
大下 裕一 大阪大学, 情報科学研究科, 助教 (80432425)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | トラヒックエンジニアリング / 確率 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、把握可能な情報が不完全な場合でも、必要な性能を達成する手法を確立する。本手法の確立にあたり、本研究課題では、(1)情報の不完全性を考慮し、必要な性能を達成する確率を一定以上に保つ制御手法と、(2)性能への影響が大きい情報を正確に把握する、観測・モデル化手法を確立し、これらの手法を繰り返し動作させることにより、必要な情報の不完全性を緩和しつつ、制御を行うことを目標としている。 本年度は、上記の目標にあたり、以下の検討を行った。 (1)ネットワークにおいて、複数の目的指標が関係するような複雑な目標を、環境変動に追随しつつ、達成するための、ネットワークへ投入する設定を進化させる制御手法を確立した。本手法では、別の指標を悪化させずに、いずれの指標も改善することができない、パレート最適解の集合をもとめ、パレート最適解の中から一つの解を選択してネットワークに投入することにより、複数の性能指標を考慮した制御が可能となる。本年度においては、本手法では、必要な性能を達成する確率の考慮は加えていないものの、本手法に加える性能指標として、必要な性能を達成する確率を与えることにより、必要な設定を考慮することが可能となる。 (2)ネットワーク制御に用いる細粒度のトラヒックの分布を、ネットワーク内の各ノードで集約されたトラヒック情報から推定する手法、当該手法で推定された分布をもとに、現在の観測結果では正確に把握することができないフローを特定し、当該フローについて正確な推定が可能となるように、各ネットワーク機器で観測するフローの集約方法を変更する手法の検討も進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題における目標を達成するためには、ネットワークに投入する適切な解を探索する手法、状況の推定手法、推定を考慮した観測方法決定の技術が必要となる。 本年度において、いずれの技術についても、基礎的な検討を終えており、おおむね順調に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、本年度に確立した手法をもとに、確率を考慮し、不確実・不完全な情報のみしか把握できない状況において、適切な対応を行うことができるのかを確認するとともに、仮想ネットワークへの適用について検討を行うことを予定している。
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Causes of Carryover |
本年度の検討は、机上検討と小規模なシミュレーション評価をもとに進めることができた。その結果、当初購入を予定していた計算シミュレーション用のコンピュータは、本年度の検討では不要となり、次年度、購入することを予定している。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
さらなる評価を行うために、本年度に購入を予定していたコンピュータを購入するとともに、情報収集のための会議参加の旅費に使用することを予定している。
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