2017 Fiscal Year Research-status Report
省電力技術によるパケット反転に適応するフロー制御アルゴリズムの提案
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16K00129
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Research Institution | Kyushu Institute of Technology |
Principal Investigator |
福田 豊 九州工業大学, 情報科学センター, 助教 (90372763)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | TCP / Reordering |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では負荷分散や転送効率の向上のためネットワークが動的に再構成される環境を想定し,受信側に送信時とは異なる順番でパケットが到着する場合に,送受信端末間で信頼性のある通信を提供するTCPにどのような影響が生じるのか,またどのように通信性能を改善できるかについて取り組んでいる.昨年度 ns3 上に構築したパケット反転を再現するシミュレーションにおいて得られた実験結果より,本年度は重複ACK に頼らないパケット反転に対応可能なフロー制御手法を検討し,その性能調査を行った.パケット反転への対応方法としては,これまでに実施した関連研究調査から,RACK (Recent Acknowledgement) で提案されているアイデアを TCP Cubic に導入することにした.具体的にはパケット再送に重複ACK を用いる (重複ACK を検出する閾値を動的に制御したり重複ACK を待ってからパケットを再送する) のではなく,送信側で全てのパケットに対してタイムアウト時間を計算し,ACK パケットを受信するごとにこれまで送信したパケットの内,タイムアウト時間を超過しているパケットは全て再送するとした.タイムアウト時間は RACK で用いられている方式に準拠し,往復伝搬遅延時間と猶予期間から導出するとした.ns3 の TCP Cubic に上記の改良を組み込み,シミュレーションにより TCP NewReno,及びオリジナルのTCP Cubic との性能比較を行った.その結果,改良した TCP Cubic はパケット反転の発生間隔が往復伝搬遅延時間よりも大きい場合に,比較対象よりも通信性能を改善できることを明らかにした.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度得られた知見に基づき,重複ACK に頼らないパケット反転に対応可能なフロー制御手法を検討し,シミュレーションにより性能評価を実施した.具体的には従来の重複ACK に基づく再送ではなく,各送信パケットに設定するタイムアウト時間に基づく再送方式を TCP Cubic に導入した.ACK 受信時に送信中のパケットのタイマーを確認し,タイムアウト時間を超過しているパケットはすぐさま再送するとした.異なるパケット反転発生間隔で性能評価を行ったところ,反転発生間隔が往復伝搬遅延時間よりも大きい場合は,オリジナルの TCP CUbic よりも通信性能を改善できることを明らかにした.また,得られた結果をまとめて国内研究会で発表を行った.
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Strategy for Future Research Activity |
30年度は引き続き提案したフロー制御手法の改良を行う.具体的には29年度に得られた知見に基づき以下の2点に取り組む. (1) タイムアウト時間の計算方法 送信側におけるパケット反転発生の判断は,往復伝搬遅延時間と猶予時間の合計値から行っているが,猶予時間の算出方法をパケット反転の発生間隔等を考慮して調整できないか検討する. (2) スロースタートモードや輻輳回避モードにおけるタイムアウト発生時の通信継続 各モード期間中にタイムアウト時間の超過を検出した場合,どのように通信を継続するのが良いのかを調査する.例えば輻輳回避モード中でも,場合によってはスロースタートから再開することが考えられる. これらの検討をシミュレーション上で実現するために,ns3 への機能実装を引き続き実施する.
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