2016 Fiscal Year Research-status Report
複数経路の高効率多重化を実現するレイヤ間協調資源割り当て制御手法の研究
Project/Area Number |
16K00131
|
Research Institution | Kyushu Institute of Technology |
Principal Investigator |
池永 全志 九州工業大学, 大学院工学研究院, 教授 (50284716)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
Keywords | ネットワークアーキテクチャ / マルチパス経路制御 / マルチパスTCP / 輻輳制御 / 通信品質制御 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,複数のプロトコル階層が協調しながら,利用可能なネットワーク資源を同時に多重利用することを可能にするレイヤ間協調資源割り当て制御を実現することを目指し,三つのサブテーマを設定して研究開発に取り組んでおり,平成28年度は,各サブテーマに関して下記の通り取り組んだ. (1)多重利用可能な通信資源の発見および割り当て技術:複数の通信資源を同時に利用するために,まず利用可能な資源の検出とその資源を利用可能な形で割り当てる方法について検討した.今年度は,端末が通信インタフェースを複数有する場合を想定し,各インタフェース固有の静的な情報と,それが接続されたネットワークから通信相手までの利用可能帯域などの動的な情報を活用し,通信経路を多重利用する際の複数の選択肢から適切な組合せを抽出する方式を考案した.さらに,ネットワーク内部で複数の経路が利用可能である場合を想定し,ネットワークシミュレータを用いた性能評価に着手した. (2)複数資源の多重利用を考慮した輻輳制御技術:動的に変化するネットワーク内部の状態に適応するためのフロー制御・輻輳制御技術として,利用可能な複数経路の状態を表す指標として空きバッファ容量を推定する方式を考案し,実機を用いた性能評価を開始した.ここでは,既存のMultipath TCPの実装を活用・改良し,ネットワークエミュレータを用いた実験ネットワークを構築し,複数パスの遅延,帯域,パケット廃棄率等について様々な条件を設定した性能評価に取り組んだ. (3)複数資源の多重利用を可能とするレイヤ間統合制御技術:ネットワーク資源の情報を複数の階層間で共有可能な仕組みを考案するにあたり,端末内部の情報共有に関する手法と,端末とネットワーク間の協調制御を可能とする手法を区別しながら,実現に必要となる機能について検討を開始した.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
・当初計画していたサブテーマにそれぞれ取り組み,概ね予定通り検討を進めている. ・サブテーマ(1)に関する方式検討は予定通り進んでおり,基礎的な段階ではあるが,シミュレーション評価についても着手している. ・サブテーマ(2)に関する実機評価は着実に結果が得られており,現時点での成果取りまとめも進めている. ・サブテーマ(3)についても概ね予定通り検討を進めており,来年度に繋がるように調査を継続している. ・研究実施環境および関連する研究分野の動向についても現状で特に問題となる事項は生じていない.
|
Strategy for Future Research Activity |
・今後も計画に沿って研究開発を実施する. ・複数の通信資源の同時利用に向けた研究開発は国内外で活発に進められていることから,最新動向の研究調査を継続して実施する.特に,マルチホーム環境におけるスケジューリング技術については,本研究と密接に関連するため,詳細な動向把握に努める. ・研究を推進するためのシミュレーション実行環境および実機による評価環境については,一層の強化が必要と思われるため,設備購入について検討する.
|