2017 Fiscal Year Research-status Report
WebRTCを用いたブラウザ間構造化P2Pネットワークの開発とその応用
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16K00135
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
安倍 広多 大阪市立大学, 大学院創造都市研究科, 教授 (40291603)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | ブラウザ間P2Pネットワーク / WebRTC / 構造化P2Pネットワーク |
Outline of Annual Research Achievements |
2017年度は以下の研究・開発を行った. (1) 前年度までに設計および実装した,P2Pネットワークに適した分散双方向連結リスト管理アルゴリズムDDLLweb(DDLLwrtcから改名)では,障害時の処理に関する検討ができていなかった.2017年度は,障害時の動作の処理を検討し,障害回復アルゴリズムを考案した.各ノードは左ノード(キーが減少する方向で最も近いノード)に対して障害検知を行う.障害検知はWebRTCもしくはWebSocketコネクションの切断,およびPINGメッセージに対する応答タイムアウトによって行う.障害を検知すると,リングを修復するために,左方向で最も近い生存しているノードを発見し,コネクションを確立する必要があるが,このために次に述べるKirinの経路表で保持しているコネクションを利用し,効率的に生存ノードを発見できるようにした. (2) 2016年度に代表者らが提案している構造化P2PネットワークSuzakuをブラウザ間P2Pネットワーク向けに修正したSuzaku-wrtcのプロトタイプ実装を行ったが,障害を考慮していなかったため,現実の環境では利用できなかった.このため,2017年度はより実用的なバージョンを開発した(Kirinと呼称).KirinはDDLLweb上で動作する.経路表上のノードが故障している場合でも動作し,ノード故障があった場合には経路表を修復する. 上記の(1)と(2)に関しては,情報処理学会インターネット運用技術研究会で発表している. (3) ブラウザ間P2Pネットワークの実用性の評価のために,ブラウザ間P2Pネットワークで動作するTwitterライクな分散マイクロブログサービスの開発を開始した.代表者らが以前に提案した方式(Kizuna)をベースとしている.現在,基本的な機能は実現できている状態である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2016年度に実現できていなかった,分散双方向リングおよび構造化P2Pネットワークにおけるノード障害時のトポロジ修復機能を実現できた.WebRTC-ManagerとDDLLwebの実装はかなり安定している.ブラウザ間P2Pネットワークを用いた分散マイクロブログサービスの実現も進んでいる.
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Strategy for Future Research Activity |
・ブラウザ間P2Pネットワーク上にマイクロブログサービスを実現する. ・WebRTCでは直接ノード間にコネクションを確立できない場合,TURNサーバを用いた中継にフォールバックするが,TURNサーバを用意する必要があり,また性能上のボトルネックとなる可能性がある.このため,直接コネクションを確立できない場合は,TURNサーバの代わりにP2Pネットワークのノードが中継する方式を実現する.
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Causes of Carryover |
理由: 国際会議に投稿したものの査読に通らなかったため,外国旅費および参加費が浮いたことが主な原因である. 計画: 積極的に研究成果の対外発表に努める.また,評価のためにある程度の規模のブラウザ間P2Pネットワークを組めるように機器を調達する.
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