2016 Fiscal Year Research-status Report
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16K00139
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
岡本 聡 慶應義塾大学, 理工学研究科(矢上), 特任教授 (10449027)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山中 直明 慶應義塾大学, 理工学部(矢上), 教授 (80383983)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | ネットワーク機能仮想化 / ネットワーキング / 機能分割 / ボトルネック解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、現在研究が進められているネットワーク機能仮想化(NFV)において、ソフトウェア化されたネットワーク内の装置が提供する“機能”を、よりプリミティブなサブ機能に分解してネットワーク上に分散配置し、サブ機能のネットワーキングによって“機能”を提供するAtomic NFV環境の実現を目指したものである。 平成28年度においては、ステップ1として、Click Modular Router の拡張を実施した。現状のClick Modular Router は、単一のマシン上で稼働するものであるが、これをモジュール間の通信にUNIX socket を適用するよう拡張を行い、複数マシンに跨ってモジュール群を動作させることに成功した。この、拡張Click Modular Router を利用して、IPルータの機能を、複数マシン上に分散させて実現する Atomic IP Router を評価対象として構築し、複数仮想マシン(VM)を利用してサブ機能群をどのVMで稼働させるかのVM割当状態を変化させ、ルータスループットを定量的に評価した。 複数VMに分割するとによる性能劣化が予想されるが、評価環境下においては、単一VMでの実行に比べてVM数を2台~5台に変化させても、スループット劣化が台数無依存で 27%であることが確認された。これは、ボトルネックとなるサブ機能が存在していることを意味している。ボトルネックとなるサブ機能を分析し、該当サブ機能に対する割当CPU数を増加させることで、ボトルネックは解消され、分割による性能劣化を 5%まで抑制することに成功した。 最終的には、サブ機能に対する動的なリソース割当を実現することが必要となるため、各サブ機能の要求リソース量の評価が重要であることが判明した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
複数マシン上で動作可能とするClick Modular Router の実装手法を見出すことができた。本実装手法は、マルチスレッド化、マルチプロセス化、マルチVM化に汎用的に適合できるものであり、平成28年度の目標であった、実装方式の検討、マルチVM環境で動作可能なClickシステムの実現を達成できていると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
ステップ2として、動的なサブ機能間の切替を検討していく。具体的には、同期用バッファ等のオーバーヘッドの評価を行うために、タイミング制御機構の実装を行い、モジュール間の切替実験を通じて知見を高めていく。 平成28年度に得られた知見に対しては、学会発表を進めていく。
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Causes of Carryover |
研究成果の学会発表が実現できなかったため、旅費に使用した金額が当初計画よりも少なかったためである。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成29年度概算直接研究費150万円を、実験用サーバ購入等の物品費90万円、旅費40万円、謝金10万円、その他10万円として使用する。
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