2017 Fiscal Year Research-status Report
高精度フィンガープリンティング測位のための屋内センサビッグデータ解析システム
Project/Area Number |
16K00147
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Research Institution | Nara Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
新井 イスマイル 奈良先端科学技術大学院大学, 総合情報基盤センター, 准教授 (60512572)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 屋内測位 / ユビキタスコンピューティング |
Outline of Annual Research Achievements |
屋内でスマートフォンユーザが現在地を知る手法としてフィンガープリンティング(以降、FP)が精度と現実性のバランスに優れている。測位精度はセンサデータマップの鮮度に依存しており、従来より巡回ロボットによる自動更新等手法が研究されている中、本研究では固定設置したセンサノードによって収集・蓄積された屋内センサビッグデータを分析することで、それぞれの空間の特徴を捉えた適切なセンサデータマップ構築手法を見いだすことを目的としている。 本研究は(1)「屋内センサビッグデータ収集基盤の構築」、(2)「センサビッグデータ解析」、(3)「FP精度の検証」の3フェーズによって計画されており、本年度はこの第2フェーズの一巡目の完了と第3フェーズの着手を目標としている。 本年度は特に第2フェーズの中に設定した「周期性・突発的な変動の検出」課題に注力した。具体的には、地磁気FPに際して、環境の状況に応じた地磁気マップの時間変動について分析した。スマートフォンを用いて、3軸加速度のノルム変化量を20ms間隔で定点観測した結果、駅コンコースにおいて電車の行き来の影響が非常に大きいことを確認した。その他、エレベータや電子レンジ、プリンタ等、大電流の発生や電磁気を活用することによる地磁気の乱れを定点観測してみたが、どれもメディアンフィルタ等のクライアント側の補正で事足りるレベルの変動であったことを確認した。したがって、大阪・梅田周辺地下街においてこれまでに確立した相互補完型Wi-Fi・地磁気FPを適用するにあたって、線路周辺のエリアについては地磁気マップを複数構成することで測位精度の向上を見込む。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
「センサビッグデータ解析」フェーズと「FP精度の検証」フェーズに主に取り組んだ。 「センサビッグデータ解析」フェーズは「周期性・突発的な変動の検出」、「機械学習によるセンサデータの類似パターン検出」に分かれており、主に前者を地磁気について取り組んだ。電車の移動に伴う地磁気の変動が大きく、それ以外のエレベータのモータや電子レンジ、プリンタ等は変動が小さかったため、電車の時刻表等の情報があれば周期的な変動として捉えることができる。後者の「機械学習によるセンサデータの類似パターン検出」については、上記の結果に基づき地下街をフィールドにした場合には線路周辺か否かでエリアを区切る手法が有望なところまで提案が完了した。 「FP精度の検証」フェーズについては昨年度に一部先行して相互補完型Wi-Fi・地磁気FP手法を確立したが、線路周辺でエリアを区切った地磁気マッチを用いた検証については年度内に着手できなかったため、やや計画より遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
大阪・梅田周辺地下街にてWi-Fi・地磁気マップを変動特性ごとに構築し、確立した相互補完型Wi-Fi・地磁気FPを用いて、単一マップを用いたFPを実現できれば、本研究の目標は達成できる。最終年度はセンサビッグデータ解析とFP精度検証のPDCAサイクルを複数回して、他のFP手法の検討も含めて年度内に目標を達成する。
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Causes of Carryover |
メッシュネットワークによる屋内センサ群を導入予定だったが、本年度は単一箇所の定点観測の検証に留まったため、年度内の購入が不要だった。 次年度に屋内センサを予定数購入する。
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