2018 Fiscal Year Research-status Report
データベースから予測失敗の原因を探る ― 直腸癌・放射化学療法の目利き支援 ―
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16K00163
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Research Institution | Fukuyama University |
Principal Investigator |
金子 邦彦 福山大学, 工学部, 教授 (50274494)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | データベース / 舌画像 / 動画像解析 / 探索 / 統計解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
・データマネジメントの関する研究成果 予測失敗の原因を探り続けた.2つの顔写真が同一人物かを判定する個人再識別を例とした.予測失敗の原因を分析するには,元データである顔写真や,予測に用いた根拠データ等を包括的なデータベースとして管理する必要がある.従来のデータマネジメント手法であるリレーショナルデータベースでは,それらが取り扱いづらいと判断した.そのうえで,JSONを基礎とするデータモデル(JSONの「値」の「タイプ情報」をより精密に扱えるデータモデル)を使い,リレーショナルデータベースよりも取り扱いが容易であるかの検討に取り組んだ.成果の一部は国内の研究会等で複数発表した. ・舌画像における失敗事例,成功事例の蓄積 舌を数十秒撮影した舌画像について,舌の色の時間変化の分析に取り組み,その解析が失敗する場合と成功する場合の事例の収集に取り組んだ.この成果は,舌画像の診断に役立つ可能性がある(当初計画に無かったが,当初計画を発展させて,舌画像診断分野に貢献できる可能性があり,研究期間の延長を行った).舌画像の色は血行を反映したものであり,当初,一定の法則で時間変化するものと仮定していた.しかし,外乱(舌自体の動き)は,まちまちに発生し,そこに法則性がない.外乱の影響により,単純な解析では,当初仮定した一定の法則を裏付ける根拠を導けないと判断した.そこで,安定的に舌の色が変化している区間の開始と終了の時刻を探索するという工夫で外乱を取り除いたうえで,失敗事例,成功事例の蓄積を開始した.今後は,失敗の原因,成功の原因を定量的に裏付ける根拠を算出できるかに取り組みながら,さらなる研究を実施する予定である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
1.元データの蓄積: 元データの蓄積については,従来あった舌画像のデータに加えて,舌画像の中の舌領域とそうでない領域を示すデータ(画像の画素ごとに,舌領域であるかないかを示すデータ)を加えることができ,元データが充実した. 2.画像処理に関する経験の蓄積: 研究に必要なデータベースシステム,統計処理に実践知識は従来からあった.画像処理については,色の3成分であるLABの時間変化について,複数の線分で時間変化を近似する手法(最小二乗法では,1つの線分での近似しかできない.複数の線分で近似する場合には,最適な線分の切れ目を探すという探索処理が必要になる)を考案し,そのプログラムを作成した. 3.舌画像や,それを用いた診断については,専門家からの情報収集を進めた. 4.ソフトウエアシステムの製作: 舌画像の解析を行うソフトウエアシステムとして,カラー画像からLABの3成分の分離,LAB成分おのおのの時間変化の算出とその線分近似(上記項目2のもの),得られた線分の傾きと,他の要因その相関関係の分析などを行うソフトウエアを製作.その結果,分析は,格段に効率よく実施できるようになった.できたソフトウエアシステムは,上記項目3の専門家によるレビューを実施し,よい評価を受けた.あわせて,データマネジメントについては,画像ファイルの格納と取り出し,解析結果等のデータ(データは「タグ」で修飾された「値」であるとしている)の格納と取り出しができるソフトウエアシステムの製作も行い,顔画像や顔の解析結果データを用いての評価も実施した. 以上の進捗による成果は,国内の研究集会で,のべ3件の講演に至ることができた.
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Strategy for Future Research Activity |
・成功の原因,失敗の原因の定量化: 現在まで,成功事例,失敗事例の収集が進みつつある.(「研究実績の概要」で示した通り,舌画像を実際の使っての収集である).そのうえで,成功の原因,失敗の原因の定量化を行い,成功や失敗の原因をより深く解明することを実施予定である. ・舌画像診療への応用検討: 成功の原因を吟味し,成功したのは偶然ではないことを明らかにする.あわせて,成功に至る手順に誤りがないことを再確認する.以上を経て,舌画像診断への応用の妥当性を判断.成果を対外発表する(このことは,当初計画を発展させるものであり,研究期間を1年延長した理由である). ・システム技術の対外公開の検討: 解析はソフトウエアで自動化している.そこでは,データベースシステム,統計量の算出,検定,相関係数の算出等の機能が組み合わさっている.そうした「組み合わせ」を作るシステム技術にも,一定の成果があったと判断している.システム技術の検討をさらに進め,新規性,有用性,信頼性を自己点検の上,対外成果発表,あるいは,Webページ等での成果公開を行う. 以上の課題に取り組む予定である.あわせて,「ディープラーニング技術」の調査,試行に取り組む.これは,ディープラーニング技術への研究転換を意味しない.ディープラーニングの本来機能により,元データから,所定の要因に関する予測を行ったとき,予測精度が高ければ,「元データと,当該要因の間に相関がある」という強い根拠になりえる.相関の算出には,従来,相関係数,クラマーのVなどがあるが,ディープラーニングを相関の算出へ応用することも試行したい.このときは,過学習により,妥当でない結果が出ることは,十分に気を付けて試行を行う予定である.
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Causes of Carryover |
当初計画になかったが,当初計画を超えての発展を見込めると判断し,1年間の期間延長を行った.そこで,延長された期間に必要と見込まれる経費を次のように見込み,次年度使用額とした.使用計画としては,データ解析に必要な物品,英文での成果発表に必要となる英文校正費,学会参加費,学会旅費を予定している.
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Research Products
(3 results)