2017 Fiscal Year Research-status Report
GPGPUを用いた超高速疑似乱数発生法に関する研究
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16K00180
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Research Institution | Iwate University |
Principal Investigator |
吉田 等明 岩手大学, 教育学部, 教授 (00220666)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川村 暁 岩手大学, 情報基盤センター, 准教授 (40347919)
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Project Period (FY) |
2016-10-21 – 2019-03-31
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Keywords | 暗号・認証等 / インターネット高度化 / 情報セキュリティ |
Outline of Annual Research Achievements |
本来グラフィックス用だったGPUを数値計算に利用して,超長周期の疑似乱数系列を超高速で発生させることが本研究の目的である。これによって,個人情報を守るための堅牢かつ高速な暗号アプリケーションの開発が可能となる。2017年度に購入した当時最新のアーキテクチャを持つGPUであるNVIDIA P100を用いて目的を達成した。すなわち,これまでは倍精度浮動小数点型演算で周期10の9774乗,乱数発生速度 300 Gbps(G は10の9乗 を表す)であったものを,アルゴリズムの飛躍的な改善の結果もあって,倍精度浮動小数点型演算では周期10の11052乗,乱数発生速度 4.383 Tbps と飛躍的な性能向上を達成した。 また,固定小数点型演算で同様の乱数発生を行うためのアルゴリズムを開発し,固定小数点型演算で周期 10の10494乗,乱数発生速度 1.829 Tbps(T =は10の12乗 を表す)を達成した。これは倍精度浮動小数点演算が行い難い組み込み系CPUなどを用いたシステムへの応用が期待できる。実用化の前段階として,実際にGPUを装備したスマートフォン上での実装も行い発表した(雑誌論文[3])。 スレッドを増やすには,できるだけアルゴリズムをシンプルにする必要があり,スレッドを増やすことで並列度が上がり速度向上につながると予想された。 スレッドを増やすために,サブ系列毎に異なる活性化関数(APLF)を用いていたのを改め,新たに摂動を用いる方法を開発した。成果は雑誌論文[1]で発表したように倍精度浮動小数点型演算を用いて行った。今後は摂動を用いる方法を固定小数点型演算に適用して,同様の改善を行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
2017年度時点で最新のGPUを用い,アルゴリズムの飛躍的な改善を行い,倍精度浮動小数点型演算では,周期の長さが10の1278乗倍,速度が約14倍という飛躍的な性能向上を達成した。また,固定小数点型演算で同様の乱数発生を行うためのアルゴリズムを開発するとともに,前段階としてGPUを装備したスマートフォン上での実装も行った。これらの成果は,個人情報を守る堅牢かつ高速な暗号アプリケーションに応用するための基礎となる。 以上は期待以上の成果である。
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Strategy for Future Research Activity |
スレッドを増やすためのアルゴリズムの改善として,摂動を用いる方法が有効であることが分かった。これまでは倍精度浮動小数点型演算を用いて行っていたが,今後はこの摂動を用いる方法を固定小数点型演算に適用することで,固定小数点演算においても飛躍的な改善を行う予定である。 本乱数発生法を用いて暗号化モジュールを実装した際に予想される実装攻撃とその対策について検討し,セキュリティ上の脅威をあらかじめ低減しておく。 また,周期の計算においては高い精度の整数演算が要求される。そこでJava言語のBigIntegerクラスを用いることで,最大で2の500000000乗までの周期を正確に計算できるように改善する予定である。 GPUに関しては,NVIDIAの最新のハイエンドのアーキテクチャであるVoltaについて文献やカタログ等で調査を行うとともに,汎用のGPUについてはNVIDIA以外の製品についても調査を行う。もし,研究資金が調達できるようであれば,Volta V100を購入してさらなる性能向上を目指したい。
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Causes of Carryover |
B-Aの27,460円は,報告「カオス・ニューラルネットワークを用いた乱数発生器のAndroid端末への実装」の知見を生かして,組込み環境のGPU等への実装を行う予定である。大型のGPUではなく組込み環境のGPUでも研究を行う予定であるが,実験に適した機器の選定に時間がかかったために残金が生じた。実験用のシングルボードコンピュータなどを購入する予定である。
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Research Products
(3 results)