2017 Fiscal Year Research-status Report
IoT活用:機密性と信頼性を両立するピュアP2P型クラウドストレージ技術の開発
Project/Area Number |
16K00181
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
酒井 正夫 東北大学, 教育情報基盤センター, 准教授 (30344740)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | クラウド / IoT / ブロックチェーン / Bitcoin2.0 / ストレージ / プライバシ / 秘密分散法 / 再生成符号 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成29年度の目標は、前年度に開発済みである「機密性と信頼性を両立するピュアP2P 型クラウドストレージ技術」に対する計算機シミュレーションと理論的考察の実施であった. 研究実施計画に従い,はじめに,計算機シミュレーションを用いて、その信頼性の定量的評価を実施した.その結果,クラウドストレージのモデルパラメータを適切に設計することで,中央管理サーバに頼ることなくP2Pノード群の自律的制御のみにより,保存データの信頼性を任意の水準に維持できることを示した.一方で,構成P2Pノード群に一時的に一定以上の大規模消失が生じた場合,たとえ保存データの消失が避けられたとしても,その後のP2Pノード群の自律的な完全復元が困難となり,保存データの信頼性が低い水準のまま維持されてしまう問題も判明した.そこで,本年度はその問題を克服する新技術の開発も行った.結果的に,従来用いていた秘密分散法に対して再生成符号技術を援用するように改良することで,前述の問題を克服することに成功した.新技術では,保存データが消失しない限り,保存データの信頼性を完全に復元することが可能である. また,本年度は,本開発技術の応用・活用範囲を広げる方法についても検討を行った.具体的には,個々の医療機関で蓄積された患者の診断データを,患者のプライバシや医療機関の権益を保護しながら安全に医療機関間で相互連携・活用する仕組みを提案した. これらの成果は,国際会議と国内研究集会においてそれぞれ発表している.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成29年度は,ほぼ交付申請書の計画通りに進捗している. 本研究で開発したピュアP2P型クラウドストレージ技術に対する計算機シミュレーションと理論的考察により,その有効性を示すことに成功した. 本年度は,本開発技術を用いた実際に動作する応用アプリの作成も計画していたが,完成には至っていない.現在は,仕様策定をほぼ終えた段階である.
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年度は,実際に動作する応用アプリを作成して,それらの動作結果をフィードバックして,技術の改良や実用上の性能評価を実施したいと考えている. また,平成28, 29年度は,研究対象がピュアP2Pシステム(中央集権的な管理サーバの存在を想定しないシステム)に特化していたが,研究の進展に伴い,ピュアP2Pシステムの場合には保存データの信頼性保証が困難であり,また,実現できる機能や達成できる性能も限定的であることが判明している. そのため,平成30年度は,研究対象をハイブリッドP2Pシステム(中央管理サーバによる不正を排除しながら,中央管理サーバによる積極的なガバナンスを許容するシステム)に広げる予定である.
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Causes of Carryover |
平成29年度は,実際に動作する応用アプリを完成させることを計画していたが,完成には至らず関連作業を十分に実施できなかった.そのため,その関連費用の支出も抑制され,結果的に76,594円の次年度使用額が生じた. 平成30年度は,実際に動作する応用アプリを完成させる予定であり,次年度使用額の76,594円はその関連作業費に充てる.
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Research Products
(3 results)