2016 Fiscal Year Research-status Report
次世代型コンテンツセキュリティを実現するための多機能電子署名技術の研究
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16K00192
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Research Institution | Tokyo Denki University |
Principal Investigator |
稲村 勝樹 東京電機大学, 理工学部, 助教 (70577395)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 電子署名 / コンテンツセキュリティ / 著作権保護 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成28年度について、Weilペアリングを用いたアグリゲート署名について、その構成方法の提案と安全性について評価を研究代表者の研究室に所属している学生と行い、その結果をその学生の卒業論文としてまとめた。既存方式においてグループ署名のアグリゲート化に関する提案は行われておらず、当然そのアグリゲート化に関する安全性の評価も行われておらず、今回初めて安全性も含めてアグリゲートグループ署名が構成可能であることを示した。これにより、例えば社内各部署で作成した電子ファイルやネットワーク経由で行っていくマルチメディアコンテンツ作成システムによるコンテンツファイルに対しその作成保証としてつけたグループ署名の管理・運用を効率化できる。以上については、今年中に対外発表を行う予定である。 さらに、上記のアグリゲートグループ署名について、署名した順番が規定できる順序付きアグリゲート署名への拡張の可能性を検討し、その構成方法の構築を行った。ただし、これについては安全性の評価を行っておらず、現在評価を行っているところである。 また、現在のペアリングベース、またはそれ以外の数学的手法を用いた電子署名の調査、および検討している多機能電子署名技術の応用やコンテンツセキュリティに広く関連するセキュリティ技術に関する研究動向の調査を目的として、国際会議ICETE2016(複数の国際会議が併催され、相互聴講が可能、ICE-B2016で登録)およびICISSP2017に参加した。これにより、今後の研究の指針となる電子署名やセキュリティの情報収集を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実施計画において、まず電子署名に関する研究動向(実装手法や評価手法、あるいはその応用先などの周辺分野)の調査について、二つの国際会議に参加し、暗号・電子署名に関する理論研究のみならず、セキュリティシステムやサービス面に関する調査を行うことで、コンテンツセキュリティへの適用可能性などについて検討するのに必要な情報の収集が行えた。 次に拡張した電子署名のプロトタイプ設計に関しては、Weilペアリングを用いたグループ署名のアグリゲート化の構成方法を検討し、その安全性の評価を行った。また、安全性の評価は途中ながら、提案したアグリゲートグループ署名の順序付きへの拡張方法についても構築を行った。これにより、実装が可能な拡張電子署名のプロトタイプ設計をいくつか行うことができた。 以上の結果から、平成28年度の研究実施計画で記載した内容とおおむね一致していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度においては、平成28年度において設計したアグリゲートグループ署名について、実装手法(プログラミングなど)に関する検討を行い、それらの検討を元に改良を加え、目的となる電子署名方式の実現を目指していく。具体的には、署名者の関係を無効にされたり、関係の無い人が署名者として署名に加えられたりといった不正の可能性、さらには署名者の追加の際に不正な署名者が追加されたり、本来追加されるべき署名者としての位置では無いところに追加して署名者の関係を壊したりといった不正行為の可能性について検討を行う。また、順序付きへの拡張について、上記と同様の検討の他、理論的な安全性証明について検討を行う。 さらに、上記検討結果が実運用に則したものとなっているかについて、研究代表者およびゼミ所属学生が検討を行う。具体的には、プロトタイプの設計の際の数学的モデルと実運用の形態の間のギャップを精査し、プロトタイプの実運用性を明らかにする。また、既存の電子署名方式との差異に注意しながら、それらの理論的なギャップが実装の上でどのような影響を与えていくかを検討する。これらの検討により、致命的な問題点が無ければ、研究代表者および所属大学院生により計算機上でプロトタイプの実装実験を行う。 また、他の電子署名方式でも拡張が行えるか検討する。 実装実験と並行しながら、上述のさまざまな角度からの検討により洗い出された問題点の解決方法を、研究代表者および所属学生が議論を行っていくものとする。また、実装実験によって抽出された実運用上の問題点についても解決方法を明らかにしていく。 また、必要に応じて国際会議に参加し、成果の発表や必要な情報収集を行う。
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Causes of Carryover |
物品購入については実際の購入予想金額よりも若干安い価格で購入できたため、旅費については当初の予定よりも安い価格で航空チケットを購入できたため。ただし、これらについては計画との差額は5%未満である。 その他の費用については、当初国際会議の参加費を前年度以前の情報から計上したが、平成28年度はそれよりも低い金額であったため。 全体では計画の94%の支出となった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
実験用機材や資料の購入、または情報収集における国内・外の会議参加費・旅費、または論文採録決定時には掲載料として使用する予定である。
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