2017 Fiscal Year Research-status Report
人工言語の共創課題を用いたことばへの気づきの獲得と言語学習効果の検証
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16K00205
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Research Institution | Kanazawa Institute of Technology |
Principal Investigator |
金野 武司 金沢工業大学, 工学部, 講師 (50537058)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | ことばへの気づき / 語用論 / 実験記号論 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成29年度は,ことばの気づきを得るための実験課題に位置付けている人工言語の共創実験について,ことばの意味を二者間で共有するプロセスのメカニズムの解明に迫る研究報告を重点的に行なうことができた.計算モデルの構築とその分析に関しては1件の国内会議(日本認知科学会第34回大会)と1件の国際会議(15th International Conference on Cognitive Modeling: ICCM2017)にて発表を行なった.また,構築した計算モデルと人とのインタラクション実験を実施し,未だ人と十分な人工言語の共創は行なえないながらも,課題の成功にはことばに明示されない意味を仮説的に推定し,それに基づいて字義通りの意味を他者と取り決め,それにより仮説が確定あるいは修正されるという循環的サイクルが必要とされることを明らかしつつある.この成果は2つの国内会議(HRIシンポジウム2017, 日本認知科学会第34回大会)にて発表した.また,こういったプロセス中の脳活動に見られる特徴についても,2件の国内会議(第8回知識共創フォーラム, 第27回日本神経回路学会全国大会: JNNS2017)および2件の国際会議(6th International Conference on Cognitive Neurodynamics 2017: ICCN2017, 39th annual meeting of the cognitive science society: CogSci2017)にて発表した. また,アウトリーチ活動の1つとして,石川県立鹿西高校にて高校生12名を対象にして「人の通信方式はどこが特殊か?人工知能実現の難しさを知ろう」というタイトルで,人工言語の共創課題に取り組む模擬授業を実施した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実績の概要の最後に書いた,高校生を対象とした模擬講義において,人どうし及び人と計算機のペアを混在させた状態で,複数人を対象にした人工言語の共創課題を実施するシステムを運用することができた.また,共同研究者である静岡大学の森田純哉氏の研究において,数十人規模の大学教室での実験課題を昨年に引き続き実施することで,システム不具合の発見及び修正が行なえた.設備面では最大30人までの個人参加が可能なタブレット端末及び通信設備と,それらを運用するためのサーバ機器を整えることができた.
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Strategy for Future Research Activity |
タブレット端末を利用した多人数での実験課題の実施システムが,大学・高校生を対象に運用できることは確認できたため,今年度は中学生や小学生を対象にしたワークショップの開催を目指す.これと同時に,人と計算モデルがペアになった実験においてうまく課題をこなすことができない原因についての分析を進め,計算モデルに実装するメカニズムを修正しながら,人と計算モデルをペアにした実験室実験を継続する.また,これまでの人工言語の共創課題が着目してきた単語の意味の恣意性に加えて,文法要素(特に構造依存性)を取り入れた課題の開発を進める.これは,平成29年度に採択された新学術領域研究(課題番号 17H06383「共創言語進化」)と連携して進めることになるものである.
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Causes of Carryover |
多人数参加の実験において支払う予定にしていた謝金が,学内イベント及び大学関連イベントと連携する形で進めることができたことで不要になった.また,データ分析のために予定していた計算機の導入が必要なかった(既存の設備で対応できた)ことも影響した.余剰分については,文法要素を取り入れた課題開発のための環境構築に必要とされるソフトウェアライセンスの購入及び更新費用を予定する.また,小学校で行なわれている外国語活動への取り組みを報告し合うために毎年開催される全国小学校英語活動実践研究会(2019年2月に三重県にて開催)への参加費用を見込む.
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Research Products
(15 results)
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[Presentation] Changes in Phase Synchronization of EEG during Development of Symbolic Communication Systems2017
Author(s)
Fujiwara, M., Hashimoto, T., Li, G., Okuda, J., Konno, T., Samejima, K., & Morita, J.
Organizer
The 6th International Conference on Cognitive Neurodynamics 2017
Int'l Joint Research
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