2016 Fiscal Year Research-status Report
新たな測定法による多次元行動・脳データに基づく個人の情動知能の推定
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16K00212
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Research Institution | Tohoku Fukushi University |
Principal Investigator |
河地 庸介 東北福祉大学, 感性福祉研究所, 講師 (20565775)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
成 烈完 東北福祉大学, 感性福祉研究所, 准教授 (30358816)
姜 東植 琉球大学, 工学部, 准教授 (00315459)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 情動知能 / 一般知能 / 実行機能 / 実験心理学的計測 / 脳機能計測 / 脳構造計測 / 機械学習 |
Outline of Annual Research Achievements |
従来の研究において、質問紙と行動課題遂行で測定される情動知能に相関が得られないことから、両測定が異なる心的過程を対象としているという指摘がなされている。この指摘について、従来の情動知能の質問紙測定に加えて、新たに情動知能の課題遂行型測定法を考案した上で、脳構造・機能測定により得られる第3の指標から2つの心的過程の存在を検証する。これにより、情動知能の統一的な測定法の確立を目指す。平成28年度は、情動知能の新たな測定法の考案と個人の情動知能の推定を以下の通りに進めた。①情動に関連する情報を活用する能力・特性を志向した情動知能(表情認知・他者視点取得・共感・行為理解)の課題遂行型測定法を考案し、必要となる情動喚起刺激素材等の収集・作成および予備的検討を終えた。②一般知能・質問紙による情動知能とともに社会適応に必須とされるプランニング・意思決定・行動制御を担う実行機能を測定し、3 つの能力の関係性を検討した。その結果、当初想定されていた以上に情動知能は一般知能や実行機能から独立していることが明らかになりつつある。次年度は課題遂行型測定による情動知能についても同様の検討を行う。この他、情動知能にかかわるパーソナリティ特性が実行機能に及ぼす影響についても検討した。③脳機能・構造のマルチモーダル計測を行い、質問紙計測による情動知能と相関する脳構造部位を特定できた。次年度は課題遂行型測定による情動知能についても同様の検討を行う。④さらに心理学的データ(種々の質問紙および課題遂行によるデータ)および脳計測データからなる多次元データを入力とし、質問紙により測定された情動知能を正解とした機械学習研究を開始し、分類器(Classifiers)のプロトタイプを作成している。この分類器により「個人」の種々の心理学・脳計測データの入力から未知の「個人」の情動知能の推定を実現できる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
上記研究の一部はすでに学会等で発表し,論文投稿を済ませている。併せて本研究に関連する論文発表も順調に行われている。現在は、本研究で新たに考案した情動知能の客観的測定を実現するテストバッテリーを用いて実験を展開している。これまでに得られている脳機能・構造画像の解析も着々と進んでいる。さらに、種々の質問紙データと課題遂行データに加えて脳構造・機能計測データを加えた多次元データを入力とし、主観報告による情動知能を正解とした機械学習を用いて、入力から正解を導く分類器を試作している。以上より,おおむね順調に進展しているものと判断できる。
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度は,刺激材料の収集および予備的検討を終えた情動知能の課題遂行型測定を可能にするテストバッテリーを運用してデータを蓄積していく。さらに追加する必要があるテストについても随時検討を行う。心理学実験およびMRIデータを順調に収集できているため、機械学習アルゴリズムの入力として新たに今後得られる情動知能の課題遂行データを導入して、複数の機械学習アルゴリズムを試す等しながら精度の向上を目指す。これらの研究成果は,国内外の学会で発表するとともに、専門誌に投稿する。
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Causes of Carryover |
次年度使用額78,123円は、本年度うまくまとめることができた研究成果を論文発表することに注力し、研究発表に伴う出張の回数が予定よりも減少したことによる。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
当該次年度使用額は主として被験者謝金として計上することを予定している。研究が順調に進んでおり、より集中的に心理実験・MRI実験を行い、データを収集することを計画している。その中で被験者謝金は必要不可欠となる。
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