2021 Fiscal Year Research-status Report
「ナル表現」の認知言語学的研究-類型論を視野に入れて-
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16K00217
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Research Institution | Soka University |
Principal Investigator |
守屋 三千代 創価大学, 文学部, 教授 (30230163)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | ナル表現 / 認知言語学 / 通言語研究 / 中動態 / 自発態 / ナル的言語 / ナル相当動詞 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は日本語の動詞「ナル」を伴う「ナル表現」の意味から出発し、そこから世界の「ナル的表現」を調査・分析して、一般に「ナル的表現」とはどのようなものかを明らかにすることを目標とするものである。論点の一つは日本語の「ナル」が「出来」よりも「変化」に傾斜しているのに対し、他の「ナル的言語」の「ナル相当動詞」は基本的な意味を「出来」とするという違いであり、このことは「出来」とは何か、「変化」とは何かという問題を根本から見直す必要性を示している。 本研究では研究の発足以来、コアとなる研究会発足メンバー6名とともに、「ナル表現研究会」を立ち上げ、研究を進めるに伴い、書籍刊行を検討・模索してきた。さらに、様々な言語の専門の研究者に執筆協力を依頼し(全22名)、ともに上記の論点を視野に入れて考察を深め、研究発表を重ねてきた。今年度に入り、研究成果も整い、書籍にまとめ、刊行する方向で具体的に進めている。これに伴い、各々の分担する言語の観点から原稿の執筆を進めながら、Zoomによる研究会を以下の日程で行った。日程は以下の通りである。1.コアメンバーによる本研究成果を書籍として刊行する計画についての話し合い。2021年8月12日(木)10:00~12:00、2.全体ミーティング:本研究成果を書籍として刊行する計画についての打ち合わせ、3.同2021年8月16日(月)10:00~12:00、4.同.2021年8月17日(火)10:00~12:00、5.同2022年1月22日(土)10:00~12:00、6.同2022年1月23日(日)14:00~16:00、7.第2章(世界のナル的表現)に関するミーティング:2022年3月29日(火)13:30~15:30、8同.2022年3月30日(水)13:30~15:30 以上、個々には研究発表等に相当しないが、中身の濃い議論を進めることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウィルス蔓延に伴い、協力者との対面によるミーティングなどが開催不可能となった。そのため、詳細な項目の検討や発表原稿等のつき合わせ、検討などが十分にできない状況にあり、従って研究の進捗も遅れていると言わざるを得ない。 ただし、筆者自身の「ナル表現」への理解が深まったと思われることと、個々の研究者の研究はほぼ十分に進められており、本研究を書籍として刊行する方向で各自の原稿もほとんどが集まっていることから、研究の全体としては十分に進んでいるとも言える。 現在は、2022年度への延長が可能となったのに伴い、対面による研究会の開催と研究発表を視野に入れて、書籍刊行に向けた準備を具体的に行っている。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は集まった原稿に基づいて、対面によるミーティングを開催し、原稿の調整を行うとともに、「ナル(的)表現」とは何かを考察する、という本来の目的に立ち返って、考察を深めていく予定である。具体的には、個々の協力者が他の原稿を読んでおり、これに基づいて検討を加えながら、目標の達成を目指したい。 研究会はできるだけ対面で、夏休みと冬休みの2回に分けて、実施する予定である。その成果は最終的に書籍に反映するとともに、来年度の学会発表(認知言語学会・日本言語学会等)でコアメンバーおよび個々の研究者が発表し、成果を共有する予定である。
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Causes of Carryover |
新型コロナウィルス蔓延に伴い、研究計画に沿って必要な全体会議等を開くことができなくなり、全てZoomで行ってきた。しかしながら、Zoomの会議では詳細な個所まで検討することができず、研究期間の延長を依頼したところ、これが認められたため、次年度の使用額が生じた。
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