2017 Fiscal Year Research-status Report
空間平面の順次推定を利用した単視点画像による3次元復元と知的カメラへの応用
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16K00224
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Research Institution | Iwate University |
Principal Investigator |
木村 彰男 岩手大学, 理工学部, 准教授 (00281949)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | コンピュータビジョン / 平面推定 / 射影幾何学 / 3次元復元 / 知的カメラ |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は,主として昨年度までに開発した空間平面の順次推定アルゴリズムについて,計算機実験に基づく多角的な性能評価を実施した.特に,3Dプリンタを導入して(あらかじめ寸法や形状を指定した形で)評価用のモデルを生成し,このモデルを撮影した画像から3次元復元を試み,その復元精度を検証した.その結果,いわゆる箱型形状の物体であれば(その3次元的な)構造を把握できることは立証できたが,空間平面推定の手掛かりとして「その平面上に乗っていて長さが既知である線分像」や「その平面あるいは平行平面上に乗っていることが既知である円の像」を使う場合には,推定誤差がやや大きくなることも同時に判明した.これは,空間平面推定の途中で4次方程式を解く必要があり,その各係数の絶対値の差が極端に大きい場合に情報落ちが発生することが原因である.今後,何らかの対処法を検討しなければならない. さらに,昨年度まではカメラキャリブレーションに関する理論検討や評価実験が十分に実施できていなかったことを鑑み,今年度はスマートフォンやタブレットPCに搭載されている各種センサー(ジャイロ,加速度,磁気)から得られる情報を利用する形のキャリブレーション法について検討を進めた.現時点では,理論的な検討は終えているものの,実際のデバイスから流れてくるセンサー情報のノイズが無視できないほどに酷く,ドリフトも発生してしまうことが予備実験によって判明している.今後はこの問題にも対処する必要がある.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
知的カメラ実現のための核となる基盤技術を確立させる,という目的に対しては,すでに昨年の段階で理論面の検討を終え,今年度の評価実験によってその妥当性と有用性が改めて立証されたと考えているため,概ね順調に進展していると評価している.また,本来の目的である「単眼のCCDカメラを向けただけで被写体の寸法や構造が把握できるシステムの実現」については,デバイスのセンサ情報を利用した形のカメラキャリブレーション法に関する検討が不十分であったり,統一的なシステム開発(例えば,アプリ実装)に未着手であったりすることから,順調,とまでは言い難いものの,残り1年の研究期間で十分に達成できるのではないかと考えている.
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は研究の最終年度ということもあり,知的カメラ実現に向けた実用化の観点から研究を進めていきたいと考えている.特に,スマートフォンやタブレットPCで動作するアプリ開発に着手し,より利便性の高いシステムの実現を目指す計画である.また,今年度の積み残し課題となっていた4次方程式を解く際の情報落ちへの対応や,ジャイロセンサーや加速度センサーを利用した実用的なカメラキャリブレーション法の開発についても検討を進める.なお,後者については,現時点ではカルマンフィルタの適用によってノイズやドリフトの少ないセンサ情報に修正できると考えており,その補正情報を用いることでより高精度なキャリブレーションが実現できると考えている.これについても,詳細な検証実験を進める計画である.
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Research Products
(4 results)