2017 Fiscal Year Research-status Report
カーネル法による辞書学習の拡張と画像特徴量抽出への応用
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16K00228
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
手塚 太郎 筑波大学, 図書館情報メディア系, 准教授 (40423016)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | カーネル法 / ガウス過程回帰 / 辞書学習 / スパースモデリング |
Outline of Annual Research Achievements |
マーク付き点過程からの標本として表せるデータに対して適用可能な新たな正定値カーネルを開発した。点過程からの標本に対する正定値カーネルはすでに存在するが、これをR-convolution kernelの枠組みを利用してマーク付き点過程に自然な形で拡張した点に特徴がある。この手法は1次元の点過程に限らず、任意の次元の空間に対する点過程について利用できるため、時系列データや画像、動画に至るまで対象となる。剽悍実験ではマーク付き点過程の標本とみなせるデータの一例である神経細胞の活動記録(多チャネルからのスパイク系列)に対して提案手法を適用し、視覚野に与えられた刺激の内容を推定した結果、既存手法を上回るパフォーマンスを得た。
研究の目標はカーネル法によって辞書学習を非線形に拡張することであるが、それにはモデルの次元の決定が重要となる。辞書学習においてはテンプレート数(辞書サイズ)の選択が重要なステップである。これは機械学習において一般に課題となるモデル選択に相当し、過学習が生じないよう、適切な値に設定しなくてはならない。テンプレート数選択を自動で行うため、訓練データを分割し、それぞれを用いて学習した結果の辞書がどれだけ安定化するかに基づいて評価を行う方法を開発した。これを実装し、実データを用いて実験を行った。モデル選択は辞書学習をカーネル法と組み合わせた場合にも重要な課題であり、アカデミックな関心の対象であり、また実用上も有益であると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究の遂行のためにはカーネル法と辞書学習の両方について実験環境を整備する必要があり、現在はそれぞれの標準的な手法を実行するための実装を進めている。特にカーネル法における代表的な手法のひとつであるカーネルリッジ回帰、辞書学習における代表的なアルゴリズムであるKSVDを共に含むフレームワークの実装を進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
画像データについては深層学習による認識の精度が爆発的に向上しているため、本研究による手法だけでは必ずしもstate-of-the-artな認識性能が得られるとは限らない。しかし深層学習はデータサイズが限られている場合には限界があることも指摘されているため、特徴量選択への利用は有効であると考えられる。そこでカーネル法と辞書学習の組み合わせによって得られるパターンを深層学習の初期値として使用すること、ないし基礎的な特徴量として使用することを検討している。
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Causes of Carryover |
研究に使用する機材の一部(GPU)の入手が遅れたため、残りの機材の購入を先送りした。
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