2016 Fiscal Year Research-status Report
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16K00230
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
眞鍋 佳嗣 千葉大学, 大学院融合科学研究科, 教授 (50273610)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 分光画像 / 立体画像 / ハイダイナミックレンジ / 色再現 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,現実世界の色彩情報に近い立体映像の撮影から処理,提示までの一連の流れを可能とする分光立体動画像の入出力システムの開発を目的として研究を進めている. 平成28年度は,入力システムの分光分布推定において12バンドと9バンドでの性能比較を行い,推定性能の違いがないことを証明した上でダイナミックレンジの拡大の検討を行った.また,出力システムとしては,提示した色の再現精度の向上を目指した. まず,分光立体動画像の入力システムとしては,これまでに我々の研究グループで提案しているRGBカメラとCMYフィルタを用いた12バンドカメラを利用し,この入力システムの分光分布推定において12バンドと9バンドでの性能比較を行った.カラーチャート24色で評価を行ったところ,推定精度が若干悪くなるものの色再現には十分な精度があることがわかった.次に,CMYフィルタを装着していないカメラ本来のRGB画像に対してNDフィルタを装着することでダイナミックレンジの広い分光動画像の計測を可能とした. 次に出力システムとしては,我々がこれまでに提案している3Dプロジェクタ2台とノッチフィルタを用いた6バンドの多原色立体提示システムを利用し,分光画像からプロジェクタに入力するデータへの変換方法の再検討を試みた.具体的には,最適化手法の一つである共分散行列適用進化戦略を用いて,分光情報から2台のプロジェクタに入力する多元色信号値を決定した.そして,出力システムを使用して色を提示しその色を分光放射輝度計で測定し,測定値をもとに再現性を評価したところ,カラーチェッカー24色の平均色差が4.35となり,従来手法の平均色差9.37の半分以下の良い結果が得られた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成28年度は,入力システムにおいて,バンド数削減による分光情報推定精度への影響を調べ,色再現にはほとんど影響しないことがわかったため,ダイナミックレンジを拡大した分光動画像計測手法を提案し,実際に計測を行った.また,出力システムにおいても,共分散行列適用進化戦略を用いて,分光画像からプロジェクタに入力するデータへの変換方法を提案し,従来手法よりも精度よく色再現できることを示した. この上記2点により,本研究課題に対して順調に研究が進んでいると考える.しかしながら,平成28年度に予定していた,ステレオ分光動画像の入力までは実現できておらず,このシステムの研究開発が平成29年度に持ち越しとなっており,今後,当初の計画を達成するためにさらに努力する必要があると考える.
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度は,入力システムで得られた映像信号を出力システムに入力し,分光立体動画像の入力から出力までの一連の動作を実行し,システム全体での色再現性,立体表示性能の評価を行う.同時に分光画像やコンピュータグラフィックスなどの映像データを効率よく適切に表示するための処理方法についての研究を進める. 入力システムとしては,平成28年度に実施できなかった分光ステレオ画像の入力を実現する.まず,ステレオカメラシステムを構築し,静止画像の入力を試みる.そして,左右のカメラでの分光情報の推定精度の評価を行う.次にステレオ分光動画像の入力を試みる. また,出力システムとしては,平成28年度に最適化を行った分光情報から多元色信号値への変換を実装し,ステレオ分光画像入力による表示を行う. さらに,ステレオカメラシステムの映像信号を効率よくダイナミックレンジを拡大した分光情報に変換し,そして出力システムに合わせた信号に変換する手法を検討する.まずは,HDDに保存された分光動画像データの提示を目指し,その次に入力から出力までをリアルタイムで実現する方法の開発を目指す.
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Causes of Carryover |
研究計画において,入力システムおよび出力システムで使用しているフィルタの再設計,購入を考えていたが,実際に研究を進めたところ,再設計をした方が精度が良くなるが,現有フィルタでも研究を推進するのに十分な精度があることがわかり,フィルタの再設計,購入が不要となったため.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
研究成果の国際会議で発表を数件予定しており,その費用に予定より多く充てたいと考えている.それ以外については,計画通り研究を進めるために必要な物品の購入や,謝金として使用する予定である.
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