2017 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
16K00230
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
眞鍋 佳嗣 千葉大学, 大学院工学研究院, 教授 (50273610)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 分光画像 / 立体画像 / ハイダイナミックレンジ / 色再現 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,現実世界の色彩情報に近い立体映像の撮影から処理,提示までの一連の流れを可能とする分光立体動画像の入出力システムの開発を目的として研究を進めている. 平成29年度は,入力システムのハイダイナミックレンジ処理における,アーチファクトを低減するための手法の検討及び開発を行った.また,出力システムでは,入力システムからの信号を直接処理し,色域の広い提示の実現を目指した. まず,分光立体動画像の入力システムとしては,平成28年度に開発したRGBカメラとCMYフィルタを用いた9バンドでの分光分布推定及びNDフィルタによるダイナミックレンジの広い分光動画像の計測システムの改良を行った.具体的には,ダイナミックレンジの拡大処理によって,アーチファクトが発生している画素があったため,NDフィルタ画像のRGB値に対して単純に倍率をかけるのではなく,一度,分光分布を推定してCMYフィルタ画像の画素値に変換した後に処理を行うことで,正しい値に変換することが可能となった. 次に出力システムとしては,平成28年度に開発した最適化手法の一つである共分散行列適用進化戦略を用いた分光情報から2台のプロジェクタに入力する多元色信号値を決定する方法を拡張し,入力システムで得られた画素値から分光情報を推定せずに,直接,画素値を入力として出力する方法を検討した.共分散行列適用進化戦略を適用するために,学習に用いたデータが足りなかったためか,適切な出力値が得られなかったが,提案手法により分光動画像の入力から出力までの一連の処理を実現できる可能性が見出せた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成29年度は,入力システムにおいて,分光動画像計測におけるダイナミックレンジの拡大手法を改良し,これまで生じていたアーチファクトの低減を行い,画質の向上を図った.また,出力システムにおいても,共分散行列適用進化戦略を用いて,分光情報からの変換ではなく,入力システムで計測された画素値に基づいたプロジェクタに入力するデータへの変換方法を検討し,分光動画像の入力から出力までの一連の処理を実現した. この上記2点により,本研究課題に対して順調に研究が進んでいると考える.しかしながら,まず,入力から出力までの一連の処理を実現することを優先したため,ステレオ分光動画像の入力までは実現できていない.また,入力システムの画素値から直接プロジェクタに入力するデータへの変換がまだ適切に行えておらず,さらなる改良が不可欠である.今後,当初の計画を達成するためにさらに努力する必要がある.
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年度は,入力システムで得られた映像信号を出力システムに入力し,分光立体動画像を正しく出力できるように,システムの改良を継続する.その上で,分光動画像の入力から出力までの一連の動作を実行し,システム全体での色再現性,立体表示性能の評価を行うとともに,医用工学分野や視覚・認知科学などの他分野の専門家の意見をもとに,応用の観点での評価・検討を行う. 入力システムとしては,分光ステレオ画像の入力を実現するため,ステレオカメラシステムを構築し,左右のカメラでの分光情報の推定精度の評価を行う.また,計測された分光ステレオ画像を元に三次元再構成を行い,三次元計測の精度に関しても評価を行う.なお,この三次元再構成において,分光情報を用いることによる精度向上を試みる. また,平成29年度に開発した入力システムで計測された画素値から多元色信号値への変換精度を,学習データの増加及びアルゴリズムの再検討により高め,ステレオ分光画像入力による表示を実現する.その上で,入力から出力までリアルタイムでの処理を目指す. さらに,他分野での応用を見据え,システム全体での評価・検討を行う.
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Causes of Carryover |
(理由) システムの改良のために物品費を計上していたが,今年度の研究では,これまでに購入したもので十分に研究が行えたため,想定したより物品費の支出が少なかったため. (使用計画) 研究成果の国際会議で発表を今年度も予定しており,その費用に予定より多く充てたいと考えている.それ以外については,計画通り研究を進めるために必要な物品の購入や,謝金として使用する予定である.
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