2017 Fiscal Year Research-status Report
解剖学と情報学の連携で聴覚伝導路における音声情報のコーディングを解明する
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16K00237
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Research Institution | Shiga University of Medical Science |
Principal Investigator |
瀧 公介 滋賀医科大学, 医学部, 助教 (20359772)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 大脳皮質層構造 / 神経発生 / 下丘 / ビームフォーミング / 音響情報処理 |
Outline of Annual Research Achievements |
当実験計画では分子生物学的技法を導入した解剖学的研究による神経構造の解明とシミュレーションによるモデル研究を有機的に結びつけ、情報学における新しい研究手法の確立をめざしており、当初は聴覚系の脳幹上行伝導路におけるビームフォーミング処理の可能性について注目していた。しかし、申請書及び前回の実施状況報告書にも記載したように新教授の就任に伴う教育研究体制の大幅な切り替えがあり、研究においても大脳皮質層構造の発生からみた形態解析を中心にシフトがあった。具体的には正常な大脳皮質層構造の形成に不可欠なReelin情報伝達系において、その下流に位置するDab1およびSbno1 についてconditional knock out個体を作成し、その形態解析を通して分子機序の解明を通した大脳皮質層構造の形態・機能形成の解明を目指しており、その中で古典的鍍銀染色による形態異常の可視化や、Diffusion Tensor法による神経連絡構造の可視化・比較において成功を収めた。これらは申請課題の発展的課題に挙げた形態数理的解析の対象として価値がある。このうちDab1に関する貢献の一部は新たに発表された学術論文の一部になった。Blume M, Inoguchi F, Sugiyama T, Owada Y, Osumi N, Aimi Y, Taki K, Katsuyama Y. Dab1 contributes differently to the morphogenesis of the hippocampal subdivisions. Development, Growth & Differentiation. 2017 Oct;59(8):657-673またこれらの研究活動を通して、情報学・シミュレーション研究において強みを持つ学生協力者の確保にもつながった。一方で本年度は聴覚系においても、当初の実験計画において中心的なアイデアの元になった抑制性投射経路の特徴について論文発表の準備作業を再開しており、助成期間中の発表に向け順調な進捗があった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度は新研究室の立ち上げ作業のために本研究計画においては予算執行と成果の両面おいて遅れがあったが、本年度は研究の方針を申請内容の範囲内で変えつつも成果に結びつけることができているため、おおむね順調に進んでいるという自己判定とした。特に分子生物学的手法で大脳皮質構造を攪乱したマウスについては前述のように学術論文として発表されており、その乱れが神経回路のシステムに及ぼす影響については非常に興味深い物がある。他にもSbno1のconditional knock out個体を用いて形態学的解析の結果が学会レベルの発表に至っている。一方で聴覚系についても、当研究計画にとって重要な聴覚伝導路における抑制性投射について論文発表の目処が立っている。一方で理論部分の進展については現状では具体的な進展に乏しいが、形態学的発見の解釈において理論研究を併用することでその学術的価値を高めることを目指したい。この面でも協力者を得ることができ、Diffusion Tensor法などができるようになっているので、研究体制という面では進展があった。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の研究目的であった解剖学的研究によってあきらかにされた神経構造の意義をモデル研究と情報学的解釈によって明らかにしてゆくという枠組みは守りつつ、実験部分については大脳皮質の層構造の発生と分子生物的制御についてウェイトが移っているので、分子機序からみた層構造の意義を理論研究の助けを借りて明らかにしていきたい。一方で聴覚脳幹におけるビームフォーミング実現の可能性については、当面抑制性投射の形態研究に絞って論文にまとめることを当面の目標にしている。
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Causes of Carryover |
(理由) 計画の修正に伴い、本年度は学会参加が予定より少なくなったため。 (使用計画) 次年度の学会参加において使用する
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Research Products
(2 results)