2017 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
16K00238
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Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
矢野 澄男 島根大学, 総合理工学研究科, 教授 (30466239)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | インテグラルフォトグラフィ / 多眼立体画像 / 奥行き知覚 / 画像歪 |
Outline of Annual Research Achievements |
1次元インテグラルフォトグラフィ表示装置の試作開発を行った.試作に際して,撮像系は計算機内で行い,表示は液晶ディスプレイ,及び,レンズ系を用いた. 撮像では,計算機内で,3Dオブジェクトを配置し,カメラアレイにより多眼立体画像を得た.この時,カメラアレイの各カメラの光軸を前方の1点に向け,これを固視点とした.得られた多眼立体画像の画素に関して液晶ディスプレイ面に再配置を行い,要素画像を生成し,対応するレンズを配し,1次元インテグラルフォトグラフィを表示可能とした. 開発試作での液晶ディスプレイは4Kフォーマット(SONY製 SO-03Hスマートフォン),サイズは5.5インチ,ドット数は横3840,縦2160ドット,画素ピッチは31.51μmである.また,レンチキュラーシートはレンズ径400μm,焦点距離は2.2㎜である.多眼立体画像は,横302,縦2140ドットであり,枚数が12枚である.要素画像の大きさは横12,縦2160ドット,3次元画像としての空間解像度は横305H,縦2160ドットとなる. なお,表示用の液晶ディスプレイの画素ピッチとレンズピッチが整数比の関係にないために,要素画像の生成において,比が小さい場合は画素の内挿処理,比が大きいときは画素削除処理が求められる.内挿処理,画素削除処理での無評価S/Nの算出,及び,主観評価実験を行った.いずれの場合も画素内挿処理が良い評価結果となり,本開発試作では,内挿処理を用いた. 一方,インテグラルフォトグラフィに関しても,カメラアレイに関して,固視点を設けて撮像を行っているために,再現された奥行き距離に歪が生じる可能性がある.このため,再現される奥行き距離に関し,計算式を導出し,評価を進めた.また,奥行き知覚可能な範囲,奥行き位置に関して主観評価実験を行い,計算値との比較を行い,奥行きの線形的な再現について検討を行った.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ほぼ計画通りの研究開発が進んでおり,試作,評価が順調に進み,結果の学会報告も行うことができた.
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Strategy for Future Research Activity |
計画通りに進める予定である.
インテグラルフォトグラフィに関しては,既にピント調節応答特性を解明しており,従来とは異なる結果を得た.また,表示画像の歪に関しても,試作開発したインテグラルフォトグラフィでは,妥当なパラメータを選択することにより,画像歪が少なく,奥行きの再現が可能な撮像,表示条件を得ることが可能となっている.これらの結果を実験条件として,インテグラルフォトグラフィでの視覚疲労の有無の研究を進める予定である.
一方,1次元インテグラルフォトグラフィでは,開発試作を終え,インテグラルフォトグラフィと同様に,表示,撮像での最適なパラメータの導出を終えている.したがって,これらの得られた条件に基づき,1次元インテグラルフォトグラフィでの視覚系への整合性を探る予定である.
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Causes of Carryover |
次年度使用額について当初購入予定のLCDパネルのメーカの製造中止によるところが大きいが,技術進展の速度が速い分野でもあり,研究を進めるにあたり,これらの背景もあり,必要な研究用の部材としては大きなダメージはうけていない.当初予算により,今後,必要となる生体計測装置の精度向上,表示装置の光学部品の精度,使用具合等の向上を図り,本研究の成果の質的向上を目指す予定である.
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