2016 Fiscal Year Research-status Report
実時間多層有限要素解析と術中生体情報の融合による次世代低侵襲手術支援システム
Project/Area Number |
16K00243
|
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
諸岡 健一 九州大学, システム情報科学研究院, 准教授 (80323806)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大内田 研宙 九州大学, 大学病院, 助教 (20452708)
倉爪 亮 九州大学, システム情報科学研究院, 教授 (70272672)
辻 徳生 金沢大学, 機械工学系, 准教授 (30403588)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
Keywords | 低侵襲手術 / 実時間有限要素解析 / 臓器変形 |
Outline of Annual Research Achievements |
当該研究は,腹腔鏡下手術を対象とし,申請者が有する実時間有限要素解析システム(neuroFEM)と,マルチモーダル内視鏡画像から得られる術中組織情報を融合することで,患者組織固有の形状・運動的機能・見えを精緻に再現可能な人体組織モデリング法の開発を目的とする. 平成28年度では,節点の挙動解析をボトムアップ的に統合し組織全体の変形を推定する,実時間多層有限要素解析システムm-neuroFEM を構築することを目的とし研究を実施した.有限要素解析では,対象体のボリュームモデルの各節点に,「隣接節点からの応力により,その節点が応力を周囲に発し移動する」物理現象を示す特性方程式をたてる.そして,全節点の特性方程式をまとめた行列式を解くことで,対象物の物理的挙動を解析する.この解析に着目し,人体組織を,節点-領域(=節点の集合)-組織全体(=領域の集合)の階層構造で表し,各層は,構成要素ごとにその挙動を推定するNN (Node Behavior Estimator: NBE)を有し,階層間を結合した大規模NN として,m-neuroFEM を構築した. 提案手法の有効性を検証するために,102個の節点からなる被殻のモデルを使ったシミュレーションを行った.具体的には,各節点ごとにNBEを構築し,102個のNBEを並列的に接続することで,ある外力が任意の節点に与えられた時,その外力による被殻全体の変形を推定するm-neuroFEMを構築した.そして,テストデータにおける被殻の変形と,m-neuroFEMの推定した変形の一致度(Dice Similarity Coefficient:DSC)を調べた.7例の変形の平均DSCは0.96であり,診断に利用可能な精度である0.8より高い結果が得られた.また,変位と応力を推定する処理時間は平均0.07[s]であり,実時間処理を実現できた.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当該年度の目標であるm-neuroFEMの構築が達成できており,研究は順調に進展している.
|
Strategy for Future Research Activity |
平成29年度以降では,開発したm-neuroFEMと,術中画像情報を組み合わせた,患者固有の運動的機能と見えのモデル化法の構築を目的として研究を進める予定である.また,立体内視鏡画像から復元した術中形状と,m-neuroFEM から推定される組織モデルの実時間非剛体位置合わせ法,およびその位置合わせ結果に基づき拘束条件を更新する手法を開発する.
|
Causes of Carryover |
当初高速内視鏡カメラを開発する予定であったが,研究を実施する上で重要な計算機が故障し,その修理に割り当てた.カメラ開発費と比べ修理費が少なかったため,次年度で高速内視鏡カメラを開発すべく繰り越した.
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
上述のように,次年度では高速内視鏡カメラを開発するための費用として使用する予定である.
|
Research Products
(4 results)