2017 Fiscal Year Research-status Report
高次元非線形ダイナミクスを用いた新しい音声情報処理機構の構築
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16K00246
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Research Institution | Future University-Hakodate |
Principal Investigator |
香取 勇一 公立はこだて未来大学, システム情報科学部, 准教授 (20557607)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 聴覚情報処理 / ニューラルネットワーク / リザーバ計算 / 非線形ダイナミクス |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究「高次元非線形ダイナミクスを用いた新しい音声情報処理機構の構築」では、リザーバ計算を基に、聴覚データを想定した多次元時系列データに適用可能なモデリング原理の確立と、その応用を目指している。平成29年度は、モデルの構造を大きく拡張するとともに、実データを用いた性能評価を行った。 これまでにリザーバ計算とスパース性に基づく多次元時系列データの符号化の手法を提案しているが、このアイデアを拡張し、脳の聴覚系のモデルを構築した。予測符号化とリザーバ計算を組み合わせたネットワークモデルを提案し、人工的に生成した時系列データについて、ネットワーク・ダイナミクスにより、与えられた高次元の時系列が再構成できることを確認した。 また上記のネットワークモデルを階層的なネットワークに拡張した。2層のネットワークのうち、低次層のネットワークでは入力時系列の再構成を行い、高次層では低次層の予測誤差・時系列の特徴量を予測するネットワークを構築した。またこの時系列を、長時間の時間相関を持つ実データ(音響データのパワースペクトラム)を用いてその性能評価を行い、基本的な動作を確認することが出来た。 さらにここで提案した聴覚系のモデルが、視覚系のモデルとして捉えることが出来ることを見いだし、簡単な視覚刺激の時系列データを用いてその応答の特性を解析した。特に、提案モデルが視覚系の機能不全の機序を説明するモデルになる可能性を臨床分野の研究者と議論することが出来た。また提案モデルが様々なセンサー情報の処理やロボット制御へ応用出来る可能性を見いだし、これらの応用可能性を検討した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
研究は当初の計画以上に進展している。音声情報処理のモデルとして提案・機構したモデルが、脳の聴覚系・視覚系のモデルに発展し、さらに様々な情報処理に応用できる可能性を確認することが出来た。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、さらに大規模な実データを用いた提案モデルの評価を行う。大規模かつ複雑な高次元時系列データを用いる。また大規模データを想定し、さらに計算の効率化を図るアルゴリズムの改良を行う。提案モデルの特性についてその詳細を調査していく。さらにその応用についても検討を進める。
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Causes of Carryover |
研究を進めていく上で必要に応じて研究費を執行したため、当初の見込み額と執行額は異なった。 研究計画に変更はなく、前年度の研究費も含め、当初予定通りの計画を進めていく。
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Research Products
(3 results)