2017 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
16K00276
|
Research Institution | Iwate Prefectural University |
Principal Investigator |
村田 嘉利 岩手県立大学, ソフトウェア情報学部, 教授 (80444925)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 彰真 岩手県立大学, ソフトウェア情報学部, 講師 (10609423)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
Keywords | ユニバーサルインタフェース / 運転事故防止 / 自動車運転 / 上下肢障害 / 加圧センサ / 障害物検出 / 体感 / 振動 |
Outline of Annual Research Achievements |
2016年度までの研究成果により、関節角度をステアリング角度に対応付けることで、交差点やヘアピンカーブを除いて、ハンドル操作に近い操縦性能で運転できることが分かった。更に、力の強さとステアリング角度を対応付けることにより、交差点等も含めてハンドル操作に近い操作性で運転できることが分かった。その研究成果を基に、左右2つのペダルフォースセンサを組み合わせ、それぞれのセンサを踏むことにより左右にステアリング操作する操縦装置を開発した。本装置をパワーステアリングモータに接続することで、足でステアリング操作可能な普通自動車を製作した。本操縦インタフェースにおいては、力の大きさがステアリング角度ではなく、ステアリングの回転速度に対応している。つまり、強く踏めばハンドルは速く回転し、軽く踏めばハンドルはゆっくり回転する。本自動車を利用して操縦性能を評価した結果、踏力とステアリングの回転速度に対応付けても多様な角度の道路においてハンドル操作に近い操縦性能が得られることが明らかとなった。その結果を情報処理学会全国大会で発表した。また、アクセル操作を足で行えるよう2ペダル方式のインタフェースについては特許出願した。 運転シートに複数の振動子を取り付け、障害物のある方向・距離を体感で知覚する障害物認識の研究については、その研究成果は情報処理学会 CDS研究会のトランザクションに掲載された。2017年度は、障害物の方向や距離を振動した振動子の位置とその振動強度から推定することに加えて、障害物が大型自動車なのか、あるいは二輪車なのかといった障害物の種類を直感的に推定できる振動方法について研究した。振動子は回転式のモータではなく、多彩な表現が可能な振動スピーカを用いた。障害物をイメージできる振動形態を考案し、情報処理学会全国大会で発表した。本論文は、学生奨励賞を受賞した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
運転操作の研究については、昨年度見直した研究計画に則って研究を進め予定通り完了した。踏力の大きさを測定するセンサとしては、東洋測器のペダルフォースセンサPFSを2個利用し、踏力を電圧に変換した上で普通自動車のパワーステアリングモータに接続した。その改造自動車を利用し、岩手県立大学の周回道路(約3km)、直線道路(約500m)および直角に曲がっている交差点の3つの評価コースを利用して操作性を評価した。評価指標は左右へのふらつき(センタラインと車体右側の距離の標準偏差)とした。踏力の大きさとステアリングの回転速度の対応付けは、連続的に対応付ける制御方法(連続方式)と左右3段階とする制御方法(段階方式)の2つについて操縦性能を評価した。その結果、段階方式の方が連続方式より若干優れているが、いずれもハンドルに比べて数cmふらつきが大きくなっているにすぎず、練習量を増やすことでカバー出来る範囲と判断している。なお、段階方式の方が優れていることが分かったことから、特許の修正を行った。 障害物認識の研究の内、振動子については予定通り実施し、障害物の種別の違いを直感的に識別する振動パターンを考案した。その振動を認知しやすい運転シートについては、振動モータを用いて,シートのクッション材量等の違いによる感じ方の違いを評価した。また、障害物の種別の違いを識別できるよう,レーザレンジファインダーをLidarに変更した。研究成果については、ITS World Congress 2018に採録決定し、2018年9月発表する予定である。
|
Strategy for Future Research Activity |
運転操作の研究については、これまでの研究成果を国際会議に投稿する。操縦性能の向上については、足による普通自動車のステアリングコントロールは高速走行を除けば、ほぼ完成段階にあると判断している。高速走行時の評価については、自動車メーカの協力が必要と考えており、協力して頂ける自動車メーカを捜していきたいと考えている。その一方、センサを利用した操縦インタフェースの最も優位な点は、特定の身体部位に限定されることなく、自由に動かせる部位であればいずれにも対応ことである。それ故、ジョイスティックの代替になるよう手首あるいは指による普通自動車のステアリングコントロールの実現を目指す。また、現在利用している制御基板Arduinoでは車載時の温度特性などの点で不安であることから、より信頼性の高いものに変更する。 障害物認識の研究については、スピーカタイプの振動子を利用し、シートのクッションに対する種別評価を実施する。シートクッションの振動吸収に頑健で、ドライバがより直感的に障害物の種別を識別できる表現形式を考案する。振動表現を正確に識別できるシート材料と振動子の装着方法を明らかにし、座布団的な補助シートを開発する。さらに、振動による通知手法を二輪車に適用し、二輪運転者に対して周囲の情報を通知する手法を提案する。二輪車については、運転中のシートの振動が大きいことが予想されるため、ヘルメットやグリップ部へ小型のハプティックリアクタを装着する。
|
Causes of Carryover |
研究計画時は、研究助手を利用して研究する予定であったが、学生だけで研究を進めることが可能であったことから、人件費の支出がなくなった。 その一方で、2017年度に加圧センサを利用して自動車のステアリングコントロールが可能であることが明らかになったことと、普通自動車のパワーステアリングモータの外部からの制御方法が分かったことから、電気自動車や電動車椅子ではなく、普通自動車を利用して足でステアリング制御する実験に計画変更を図った(2017年度で報告すみ)。それに伴い、ペダルフォースセンサ2台(2組)とそれを搭載した普通自動車(マーチ)を購入した。その結果として差額が生じた。
|
Research Products
(4 results)