2016 Fiscal Year Research-status Report
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16K00282
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
吉川 浩 日本大学, 理工学部, 教授 (20182735)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | ホログラム / 画質評価 / 構造的類似度 / 回折効率 |
Outline of Annual Research Achievements |
二次元画像の画質評価では,画像そのもののコントラスト等を評価する場合もあるが,情報圧縮して伸長した画像では,元の画像との違いが評価対象となる.二次元画像から生成されるホログラムの場合も,ホログラムの干渉縞に変換された後照明光により像を再生するので,元画像と再生画像の違いを評価指標のひとつとした.これまでの研究では元画像と再生画像の違いをピーク信号対雑音比から求めていた.しかし,二次元画像の分野では,より人間の知覚に近い構造的類似度での評価が使われているため,ホログラムの再生像の評価にも構造的類似度を用いて評価することとし,その成果を国内の研究会と国際会議に於いて発表した.また,ホログラムの場合は,照明光のパワーと再生像のパワーの比が回折効率として定義され,再生像の明るさを示す重要な指標となっているため,構造的類似度とともに評価指標として用いている.ホログラムとして記録されている干渉縞に非線形変換を施すことにより,構造的類似度は低下するが回折効率を向上できることを客観的に示すことができた.非線形変換により回折効率が向上することは従来から経験的に知られていたが,画質の評価は主観的評価に頼っていた. これまでの評価は,ホログラムからの再生像の計算機シミュレーションが中心であったが,実用的には液晶等の空間光変調器に表示したホログラムや,感光材料にハードコピーとして記録したホログラムからの画質評価がより重要であるので,光学的な再生像の評価のための準備を行った.ホログラムからの再生像を,レンズを用いずにイメージセンサで直接検出して元画像との比較を行った.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
二次元画像を記録したホログラムの画質評価についての研究は,順調に進展している.二次元画像から合成するフーリエ変換ホログラムにおいて,再生像の計算機シミュレーションによる画質の客観的評価では,元画像と再生画像の相違をピーク信号雑音比で評価していたが,二次元画像の画質評価ではより人間の認識に近い構造的類似度が多用されているため,フーリエ変換ホログラムの評価にも構造的類似度を導入して客観的評価を行った.また,ホログラムの干渉縞に非線形変換を施すことで,構造的類似度を犠牲にして再生像の明るさを改善できることを定量的に明らかにした.光学的な再生像の評価については,予備的な実験として液晶パネルに表示したホログラムにレーザー光を照射して得られた再生像の結像位置にイメージセンサを置いて再生像が取得できることを確認し,次年度に向けての準備が整った. 三次元物体の画質評価に対しては空間像として元画像との類似度を比較することとし,フレネル変換によりホログラム面から任意の距離における平面での再生像の強度を求め,これを距離の異なる複数の面で行うこととした.今後具体的な評価を行う予定である.
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Strategy for Future Research Activity |
構造的類似度を用いた元画像からと再生像の客観的評価を行ったので,主観的評価との相関について確認する実験も行う予定である.主観評価方法については,二次元画像の画質評価に広く用いられている原画像と評価画像の比較による二重刺激法により行う予定である.また,光学的な再生像の評価については本年度の予備実験を進展させて実際の実験を行う.客観的評価法としては,再生像の結像位置にイメージセンサを置いてレンズを用いずに直接検出した結果を評価する. 三次元画像としての画質評価も空間像として元画像と再生像の違いを調べる予定である.計算機シミュレーションと光学再生像の評価のどちらの場合においても,ホログラムと平行な平面での再生像の輝度分布を求め,平面とホログラム面の距離を一定範囲で変化させることで三次元的な空間像として評価を行う.空間像の計算機シミュレーションでは,厳密な伝搬計算では高精度な反面計算時間が増加してしまうので,近似解法である複数のフレネル変換手法を比較して,精度と計算時間のバランスの良い解法を検討する.
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Causes of Carryover |
光学的な再生像の評価実験において,現在使用しているイメージセンサはCMOSのカラーセンサである.ホログラムの再生はレーザ光で行うため,カラーセンサである必要はなく,逆にカラーフィルタなど余分な素子が付いているため光量が落ちたり,イメージセンサの解像力が落ちるなどのマイナス面が多い.そこで,CMOSよりノイズの少ないCCD方式のモノクロのイメージセンサにより光学的再生像の評価を行う予定である.要求仕様を満たすセンサの価格が65万円程度であり,平成29年度予算では不足するために今年度予算を残すこととした.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
当初の次年度予算と次年度使用額を加えると80万円程度であり,モノクロイメージセンサの購入予定価格である65万円に加えて,研究を遂行するための感光材料や光学素子等を購入する.
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