2016 Fiscal Year Research-status Report
ストロークとタップを使うスマートウォッチ向け文字入力手法と専用タッチボードの開発
Project/Area Number |
16K00286
|
Research Institution | Meijo University |
Principal Investigator |
田中 敏光 名城大学, 理工学部, 教授 (00262923)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
Keywords | スマートウォッチ / 文字入力 / ジェスチャー / モバイル / 行段方式 / 専用ハード / ユーザーインターフェース |
Outline of Annual Research Achievements |
スマートウォッチに適した文字入力手法の第1バージョンを作成した.スマートウォッチの画面は大変小さいため,キーボードを表示する方法ではキーが小さくなりすぎて入力誤りが頻発する.また,キーボードが画面の大部分を占有してしまう.これを解決するため,ストロークジェスチャーで文字を入力する. 平仮名1文字を行と段の組み合わせで入力する.行は画面の角から画面の縁に沿って反対の角まで指を動かすジェスチャーで指定する.ただし,画面を4象限に分割し,ある象限を通過すればそこに含まれる角を通るジェスチャーが行われたと判定するので,画面の縁を正確になぞる必要は無い.段は画面の角と辺の中点の合計8箇所に表示される矩形のどれかをタップすることで指定する. 画面の縁には入力を補助するガイドを表示する.ガイドの表示は指の動きに連動して変わるため,入力したい文字が示された方向に指を動かしていくことで,ジェスチャーを覚えなくても文字を入力できる.実験では,初めて利用する人でも100文字程度の入力で操作方法に慣れ,毎分18文字程度の速度で平仮名を入力できた.熟練者では毎分40文字以上の入力が可能である. 提案手法では,画面の角と辺の中点の合計8箇所のどこに指先が位置するかで入力を判定している.そこで,タッチセンサを組み合わせて専用の外付けタッチボードを試作した.大きさは,腕時計のバンドに無理なく装着できる20mm×20mmとしている.この大きさで正確な判定を行うために,センサーを放射状に8個配置し,隣り合う2つに同時に触れたときに間の位置を出力する.また,ボードの中央にドーム型のふくらみを設け,左上にオフセットして配置することで,指のはみ出しを防ぐとともに,スムーズな指の動きを補助している.センサー単体の評価では,ジェスチャーの認識率は99.4%,タップの認識率は99.7%と十分に高い値となっている.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
Android OSへの文字入力システムの実装を課題が採択される1年前から始めていた.スマートウォッチへの実装にはOSをAndroid Wareへ変更する必要があるため,時間がかかると想定していたのだが,思ったよりも順調に進んだため,スマートウォッチへの実装とジェスチャー判定方式の改良,及び評価実験を1年目の終了までに行うことができた. また,専用ハードの開発も2年前から始めていた.当初は全て手作業で作成していたため,ボードの品質が低く,評価中に動作しなくなるなどの問題が発生していたが,3Dプリンタで土台を造型することで,形状の変更が容易になり,開発のピッチが上がった.3Dプリンタの運用も,当初は造型のノウハウを得るために1年程度かかると見込んでいたが,3Dプリンタに熟練した同僚教員の指導を受けることで,半年程度でタッチボードを作成できるようになった.このため,当初計画ではスマートウォッチ上でシステムを稼動させるところまでを初年度の目標としていたが,2年目に予定していたタッチボードのプロトタイプの作成と単体のテストまでを行うことができた.
|
Strategy for Future Research Activity |
当初の予定より計画が前倒しで進んでいるので,全体計画を見直し,ユーザーインターフェースを改良した新バージョンの入力システムの開発を2年目の目標とする.初年度の実験の結果から,システムに短時間で慣れることができる点や熟練者の入力速度が40文字/分を越える点については,当初想定した以上の成果が達成できたと考えている.しかし,実験結果を解析した結果,いくつかの入力誤りの原因が見つかったので,それを防ぐ改良を施すことで,入力速度の向上と使い勝手の改善が見込めると考えられる. 円形画面のスマートウォッチ向けのシステムについては,2年目以降に開発する予定だったが,計画が前倒しされたため,平仮名入力部分の実装と初心者による評価は終わっている.丸型画面には角が無いため,角型画面のスマートウォッチとは異なるデザインのジェスチャーを採用したが,こちらの方がジェスチャーがシンプルであるため,熟練者の入力速度の向上が見込めると考えられる.そこで,角型スマートウォッチのインターフェースに反映したい.また,画面の形状で操作方法が異なるのではユーザーが戸惑うため,角型と丸型で同じユーザーインターフェースを実現することが望ましい. そこで,角型と丸型に共通のユーザーインターフェースをデザインする作業を進めている.今年度は共通インターフェースのシステムを角型と丸型のスマートウォッチに実装し,評価実験を行う.そして,実験結果をこれまでのシステムの結果と比較することで,改良の有効性を評価する. タッチボードについても,共通化されたインターフェースに適合するように改良する.現在タッチボードのデザインを検討しているとことだが,本年度は決定したデザインでボードを作成し,単体で入力精度を評価する.タッチボードを使った入力の評価には改良後のタッチボードを使いたいので,当初の予定通り,3年目に行う.
|
Causes of Carryover |
繰り越した予算は Android Wear 2.0 対応のスマートウォッチを購入するために残してあったが,年度末までに該当機材が発売されなかったため,執行を見合わせた. 本研究ではAndroid WearをOSとするスマートウォッチにシステムを実装しているが,2016年中に新バージョンであるAndroid Ware 2.0の公開がアナウンスされた.スマートフォンを介さずにネットワークに接続できるなど,OSの機能が大きく向上するため,システムの開発を新バージョンで行うことが良いと判断し,機材を調査していたが,2017年3月の時点で,対応するハードウェアが発売されていなかった.また,OSのバージョンアップが保障された機材も限られており,研究目的に適したものが入手できる見込みが無かった.このため,2016年度の購入を見送った.
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
2017年4月に発売済みの機材で研究に使用できるASUS Zenfone 2のOSが,Android Wear 2.0 にアップデートできることが確認できたので,新年度予算を合わせて必要な台数を購入している.
|
Research Products
(9 results)