2017 Fiscal Year Research-status Report
ストロークとタップを使うスマートウォッチ向け文字入力手法と専用タッチボードの開発
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16K00286
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Research Institution | Meijo University |
Principal Investigator |
田中 敏光 名城大学, 理工学部, 教授 (00262923)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | スマートウォッチ / 文字入力 / ジェスチャー / モバイル / 行段方式 / 専用ハード / ユーザーインターフェース |
Outline of Annual Research Achievements |
スマートウォッチ用文字入力手法を改良した.前年度開発した画面の縁を使う方法はタッチで入力を始めるため,3mm以上の幅の入力領域が必要となる.そこで,スライドインによる選択方法を考案し,入力領域の幅を2mmに削減した.これにより,画面占有率は37%から27%へと低下した(1.6インチの正方形画面の場合) 改良手法では,画面の上辺,左辺,右辺をそれぞれ2分割し,各区画に平仮名の行を2つずつ割り当てる.入力したい行が書かれている区画を横切るようにスライドインする(画面の外から内へと指を滑らせる)と,画面が二分割され,それぞれに行が1つずつ表示されるので,指先を入力したい側に移動してから指を離すことで,行を確定する.段選択では,画面が3 × 3 の格子に分割され,選んだ行の5つのひらがなが表示されるので,タップで選択する.この画面の右下のボタンをタップすると,表示を濁音や半濁音に切り替えることができる.昨年度に開発した手法では,清音を入力したのちに濁点や半濁点を追加していたため,表示に小さな文字を使うと濁点/半濁点の有無が区別しづらかった.改良手法では,文字を大きく表示した状態で濁音/半濁音を選択することができるため,誤入力を防ぐことができる.これらの改良により,初心者の入力速度が2割程度改善し,約5分間の利用で28文字/分の入力が達成できている. 入力手法の改良に伴い,専用タッチボードのデザインを変更した.ボードを8方向に分割し,隣り合う2つのタッチセンサに同時に振れた場合に間の位置を出力する仕組みは同じだが,タッチセンサの幅を狭くし,中央に大きめの出っ張りを設けることで,指先を立ててタッチするように誘導するデザインに変更した.この改良により,時計バンドに装着して親指で操作を行う実用で想定される使用条件において,行選択で98.7%,段選択で99.4%の高い認識率が達成できた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初は,1年目にプロトタイプの作成,2年目にその評価,3年目に改良版のシステムの作成,の手順を考えていたが,2年目が終わった時点で,入力システムも専用タッチボードも改良版の作成と簡単な評価まで完了した.当初の予定より1年前倒しで進んでいる.ソフトウェア開発については,1年目でAndroid Wareでの開発環境が整ったことが大きく寄与している.最初のシステムのテスト段階で思いついた改良案を約1年で実装し,小規模な評価実験まで行うことができた.タッチボードについても,センサのレイアウトは変更しているが,基本的な処理は改良前後で同じにできたため,評価実験を短期間で行うことができた. 研究成果の発表についても,タッチボードについては1年目の成果をモバイル学会の論文として公表することができた.また,入力システムについては,情報処理学会の審査を待っている状態である.2年目の研究成果についても,タッチボードについては初稿原稿を投稿済みである.また,入力システムについては国際会議HCII2018での発表が決まっている.このように,成果発表についても,半年程度のスケジュールの前倒しが達成できている.
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Strategy for Future Research Activity |
ソフトウェアの開発については,改良版入力システムの評価と英字入力の高速化を研究課題とする.画面の占有率をこれ以上下げることは難しい段階に達しており,平仮名入力での初心者の入力速度も実用的なレベルにあると考えているため,熟練過程での評価や既存手法との比較を行い,その結果をもとに調整を加えてシステムの完成を目指す.英字入力については,平仮名とインタフェースを揃えるためにグループ,メンバーの2段階で選ぶ方式となっているため,英字専用手法より時間がかかっている.そこで,システムに慣れた人のために英字を1段階で入力できるオプションを実装し,性能を評価する.予想が正しければ,英字についても既存手法を上回る速度での入力が可能になると考えている. 専用タッチボードについては,改良版のデザインで高い入力精度が達成できてはいるが,ストロークの向きが画面を使う場合と若干異なっている.これを解消するため,画面の同じ方法で使用できるタッチボードのデザインを検討し,原案を作成した.今年度は,このボードを制作し,2年目に開発したボードとの入力精度や使いやすさを比較する研究を行う. これまでに開発した入力手法をブラインド入力やアイズフリー入力に応用する研究を行う.近年普及が進んでいるHMDを装着した状態で文字を入力するには,手元を見る必要がない手法が適している.また,移動しながら使うには,装置が小さく,片手で操作できることが望ましい.これまで開発してきた手法は画面の縁や角を手掛かりとして入力を行うため,画面の周囲にカバーを付け,そこに凹凸等の指の触覚で区別できるマークを付けることで,視覚で位置を確認しなくとも操作することができる.第一段階として,手が隠れた状態でも使用できるブラインド入力を実現する.将来的には,この手法に音声による応答を追加することで,視覚情報を必要としないアイズフリー入力を目指す.
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Causes of Carryover |
3Dプリンタの消耗品の追加購入代金と小型スマートフォンの購入代金として用意していましたが,消耗品は追加の必要がなくなり,スマートフォンは在庫切れとなったため購入できませんでした.これらの品は2018年度に購入する予定です.
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Research Products
(11 results)