2017 Fiscal Year Research-status Report
可変構造マイクログリッドのための自律適応型運用制御機構の開発
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16K00292
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
木下 哲男 東北大学, 電気通信研究所, 教授 (20282006)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | エージェント / マルチエージェントシステム / システム制御方式 / マイクログリッド |
Outline of Annual Research Achievements |
平成29年度は、まず、前年度に検討した可変構造マイクログリッド構築のための基本アーキテクチャに基づいて、プラグイン型エージェント群によるシステム構成手法の検討を進めた。具体的には、当該マイクログリッドの構成要素となる機器/装置(ノード)のモデルとして種々の機能を備えたIoTデバイスを設定し、これらをエージェント化したエージェント型IoTデバイスを能動化されたノードと見なして、実験用システムの設計を進めた。すなわち、マイクログリッド内での電力需要ノードに相当するデバイスとして点灯制御可能な照明ランプ、動作制御可能なセンサーデバイスや小型ロボットなどを対象として、電力需給制御に関する情報交換と処理を担当するソフトウェアエージェントの設計と試作を行なった。 一方、発展型システムのアイディアを適用したマイクログリッドのノード群の自律適応型制御機構については、前年度から継続して、その処理の基本機能となるシステム自身の稼働状況の観測方式について検討した。本年度は、マイクログリッドシステム全体を一つのネットワークシステムと見なして、同システムの巨視的な動作モデルをもとに定義されるシステムの活動度に着目した状態観測手法を定式化し、シミュレーション実験、及び、クライアント-サーバ型の実験用ネットワークシステムを利用した実機動作の観測実験により、活動度のゆらぎの分散の振る舞いから、システムの巨視的な動作状況を推定できることを確認した。本手法を活用することより、稼働中のマイクログリッドで生起する異常状態(電力消費の不均衡や自然災害・故障などに起因して観測されるシステム活動度の異常な変動)が察知できる可能性がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の中核的な技術となるエージェント型IoTデバイスの設計・実装手法により、エージェント型マイクログリッドの構成要素となるノードにエージェント機能を付与するノード能動化機構の実体を与えることができるなど、概ね順調に進展している。 なお、エージェント型IoTデバイスの設計・試作は、既開発のリポジトリ型マルチエージェントフレームワークを活用して行っている。このフレームワークを利用することにより、Javaソフトウェアを対象としたソフトウェアモジュールのエージェント化機能が利用できると共に、エージェント相互間でのメッセージ通信、及び、拡張契約ネットに基づくエージェント群の組織化/再組織化のための協調プロトコルが提供されるため、プラグイン型エージェントの設計・試作の負担が軽減されている。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度は、プラグイン型エージェント群の静的/動的な組織化を行う処理機構を開発し、当該機構が変動する環境で稼働するマイクログリッドの制御機能を調整・変更する仕組み(可変構造マイクログリッドの制御機構)として活用できることを実験的に検証してゆく予定である。
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Causes of Carryover |
その他の支出項目の金額に端数が生じたため。 残金を消耗品類の支出に繰り入れて予算計画を策定し執行する予定。
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