2017 Fiscal Year Research-status Report
Evlutionary compuation method to determine essential brain function regions and metabolites
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16K00312
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
廣安 知之 同志社大学, 生命医科学部, 教授 (20298144)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
渡邉 真也 室蘭工業大学, 工学研究科, 准教授 (30388136)
杉本 昌弘 慶應義塾大学, その他の研究科, 講師 (30458963)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 脳機能イメージング / fMRI / fNIRS / ヒトの状態推定 / 進化計算 / メタボローム |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、ある刺激を与えた際の脳機能状態を非侵襲に採取可能な唾液から予測する手法の確立を行う。そのために、刺激を与えた際の脳機能を計測し、その結果得られる脳機能イメージング情報から、被験者の特性のクラスタを決定する要因となる脳機能部位を特定する。同時に、唾液のメタボローム解析による代謝変動を測定し、クラスタの識別と関連の高い代謝物質を特定する。 脳の部位ごとの脳機能時系列データを求め、部位間の時系列データの類似度の高い部位間は接続され、低い部位間は不接続されているとみなすことで、脳機能の状態は、部位をノードするネットワークとして表現することが可能である。本研究では、脳機能状態をこのネットワーク表現で検討することが適当であると考え研究を遂行している。 本年度は、fMRIおよびfNIRSを利用した実験を行い、脳機能イメージングデータを取得した。対象としたタスクは、快・不快状態時の情動タスク、数値計算やnBackといったワーキングメモリタスク、マインドフルネスを想定した集中瞑想タスクなどである。いずれも快や不快、集中時、不注意時といった2状態を想定し、2状態を識別する際に、重要となる脳機能状態を表すネットワークのエッジを導出する手法を確立した。そこでは、2状態に対応する脳機能状態を表すネットワークを求め、最も2状態を特徴づけるネットワークのエッジを決定する。この決定には進化計算を利用した。 また、集中瞑想タスクにおいては、脳機能状態を計測しただけでなく、唾液を採取することでメタボローム情報を取得した。この解析については、これからの課題である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究のゴールは、非侵襲な脳機能イメージング装置から得られる脳機能データから、被験者の特性のクラスタを決定する要因となる脳機能部位を特定すること、および、唾液のメタボローム解析による代謝変動を測定し、クラスタの識別と関連の高い代謝物質を特定することである。 これまでに、快や不快、集中時、不注意時といった2状態を想定し、2状態を識別する際に、重要となる脳機能状態を表すネットワークのエッジを導出する手法を確立することができた。提案手法では、2状態を識別する際の識別精度の最大化と着目するネットワークのエッジの数の最小化の2目的を最適化する問題に定式化し、遺伝的アルゴリズムを利用してパレート解集合を求め、得られた解集合から、重要なエッジを推定する手法である。この探索手法の構築は、おおよそ想定した通である。 一方で、唾液のメタボローム解析については、マインドフルネス瞑想をタスクとした実験を行い、唾液のメタボロームの収集は行ったが、解析は未達成である。 これらのことから、総合的に判断して、本研究はおおむね順調に進展しているとした。fMRIやfNIRSを利用した脳機能イメージングデータを検討した研究については、おもに国際学会を中心に成果を公開することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究は次のように進める予定である。 先に述べたように、脳の部位ごとの脳機能時系列データを求め、部位間の時系列データの類似度の高い部位間は接続され、低い部位間は不接続されているとみなすことで、脳機能の状態は、部位をノードするネットワークとして表現することが可能である。本研究では、脳機能状態をこのネットワーク表現で検討することが適当であると考え研究を遂行している。 これまでに、快や不快、集中時、不注意時といった2状態を想定し、2状態を識別する際に、重要となる脳機能状態を表すネットワークのエッジを導出する手法を確立した。しかしながら、そこで決定されたネットワークは静的情報である。一方で、対象とする状態は時間ごとに変化する情報である。そのため、今後は、2状態を識別する際に、重要となる脳機能状態を表すネットワークを、動的情報として抽出する。そこでは、2状態を識別する際に重要となるネットワークをメタ状態ネットワークと呼び、一つの状態では、メタ状態ネットワークをできるだけ長期に含み、他の状態では、メタ状態ネットワークをできるだけ長期に含まないようなメタ状態ネットワークを決定する手法を確立する。そこでは、ネットワーク理論と必要なエッジを決定する際に遺伝的アルゴリズムを利用する。また、唾液のメタボローム解析については、マインドフルネス瞑想をタスクとした実験を行い、唾液のメタボロームの収集をこれまでに行ったが、解析は未達成であった。この解析を遂行する。さらに、メタ状態ネットワークの含有の増減と相関が高いメタボロームを探索する。この探索においても、進化計算を利用する予定である。 これらの計画は概ね申請時に想定した計画スケジュールに沿ったものである。
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Causes of Carryover |
今年度実行する予定であった唾液メタボローム解析を行うことができなかった。そのため、次年度に利用し解析を実行する。
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