2017 Fiscal Year Research-status Report
機械学習法を駆使した金融テクニカル分析の科学的妥当性の検証
Project/Area Number |
16K00320
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
鈴木 智也 茨城大学, 工学部, 教授 (70408649)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 機械学習 / AI運用 / フィンテック / 人工知能 / 集団学習 / 集合知 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年,人工知能技術の実務への応用が加速しているが,本研究では特に金融業務への応用としてFinTechに関する投資運用モデルをいくつか提案した.提案モデルでは,深層学習・集団学習・異常検知など様々な技術を用いるが,投資判断は過去の株価情報のみに基づくためテクニカル分析の一種とみなし,それらの妥当性を投資シミュレーションおよび統計的仮説検定に基づいて調査した.その結果,単にまぐれでは解釈できないほどの収益性を確認でき,これは伝統的経済学の基盤をなす効率的市場仮説の反証になり得る可能性を指摘した.これらの成果は学術論文2編(内アクセプト1編),国際会議論文1編,国内発表3件に示し,今後は事業化を見据えてブラッシュアップする.特に人工知能と集団学習を組み合わせた「集合知AI」を提唱し,予測しやすい銘柄を臨機応変に選択するためのテクニカル指標(コンセンサスレシオ)を開発した.これまでの集団学習では主に平均値のみに着眼したが,多数決の度合いに相当する標準偏差も重要な情報であるため,標準偏差が小さい(コンセンサスが高い)銘柄を優先的に選択する投資運用モデルを提案した.この成果が国際テクニカルアナリスト協会が主催する年間最優秀論文と認められ,2016年度ジョン・ブルークス賞を受賞した.さらに深層学習を用いた投資運用モデルでは,異常検知の方法としてオートエンコーダを活用した.異常検知では予測値と実測値の乖離を利用して異常度を評価するが,そもそも予測が難しいシステムではほとんどの値が異常になってしまう.そこで現在と未来の関係を学習する一般的な機械学習モデルではなく,現在と現在の関係を自己学習するオートエンコーダなら異常検知に活用しやすいと考え,実際の株価変動の異常検知に活用した.その結果,異常な株価変動の直後は反転しやすい傾向(アノマリー)を発見し,これが収益を得る機会になる可能性を示した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
学術論文2編(内アクセプト1編),国際会議論文1編,国内発表3件を鑑み,順調に研究成果を挙げていると考えられる.
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Strategy for Future Research Activity |
国際会議および国内発表した研究テーマについて内容をよりブラッシュアップし,2018年度中に学術論文誌に投稿する. 既に公開された学術論文については事業化を通じて机上の空論ではないことを実証する(特許申請済み).その他,進行中の研究テーマについては国内外で成果を発表し,外部の専門家らによる意見を伺いフラッシュアップを図る.
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Causes of Carryover |
計算機が安価になり,想定額より安く購入できたため,次年度使用額が生じた.H30年度には,この使用額を利用して計算機を追加購入し,実験環境の改善を図る.
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Research Products
(10 results)