2017 Fiscal Year Research-status Report
複雑系のレジリエンス性向上のためのパラメータ制御法の開発
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16K00332
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Research Institution | Kagawa University |
Principal Investigator |
藤本 憲市 香川大学, 大学連携e-Learning教育支援センター四国, 助教 (20300626)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | スペクトル半径 / リアプノフ指数 / 離散時間動的システム / 安定固定点 / パラメータ制御系 / レジリエンス |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究代表者らが開発した動的システムにおける正常状態の安定度を操作するパラメータ制御系を,連続時間動的システムやハイブリッドシステムなどの複雑系(動的システム)に適用し,それら動的システムのレジリエンス性を向上させるための制御理論を構築することが本研究の目的である。 平成29年度は,リアプノフ指数に基づくパラメータ制御系の連続時間動的システム(自律系)への適用について主に理論的な面から研究を行い,一つのアイデアを考案した(未発表)。現在,本考案法の有効性検証のための数値実験を継続している。 その他,離散時間動的システムにおける安定固定点の最大リアプノフ指数がスペクトル半径に対応することに着目し,スペクトル半径最小化のアイデアに基づいた離散時間動的システムの安定固定点に対するパラメータ制御系構築を理論及び数値実験の両面から並行して実施した。スペクトル半径は絶対値関数を含むため,スペクトル半径を含む目的関数の最小化に勾配法を適用することは困難である。そこで,Kima (Automatica, 2009) らが見出したスペクトル半径のシステムパラメータに関する勾配情報を利用することでその解決を図った。スペクトル半径に基づいた目的関数の最小化問題に対して最急降下法(勾配法)を適用した数値実験を行なった結果,構築したパラメータ制御系の有効性が例証された。また,本提案法の連続時間動的システム(非自律系)の安定周期解に対する適用についても理論的検討を行い,その有効性検証のための数値実験を継続して行っている。 以上の研究成果の一部を国内外の学術会議で発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成29年度に計画していたリアプノフ指数に基づくパラメータ制御系の連続時間動的システム(自律系)への適用について,まずは理論的な面から研究を行なった結果,そのパラメータ制御系の構築に資する方法を考案することができた。現在,本考案法の有効性検証のための数値実験を行っているところである。その他,離散時間動的システムの安定固定点について,当初予定していなかった最大リアプノフ指数以外の安定指数を用いたパラメータ制御系の開発に成功した。以上のことから,おおむね順調に進捗していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
当初計画どおり,平成30年度以降において,連続時間動的システム(自律系)及びハイブリッドシステムに適用可能なパラメータ制御系の数値的検証実験を継続する。また,安定な非周期的状態から安定な周期的状態へ遷移させるためのパラメータ制御系構築に向けて,理論及び数値実験の両面から並行して研究を行う。
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Research Products
(2 results)