2017 Fiscal Year Research-status Report
ベータ写像に基づくAD変換器を用いた製造誤差に頑健なユニバーサル乱数生成
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16K00333
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
實松 豊 九州大学, システム情報科学研究院, 准教授 (60336063)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
傘 昊 東京都市大学, 知識工学部, 准教授 (30400774)
篠原 克寿 一橋大学, 大学院商学研究科, 准教授 (50740429)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 乱数生成器 / 区間力学系 / 物理乱数生成器 / ロバスト設計 |
Outline of Annual Research Achievements |
β変換器に基づく乱数生成器に関して,平成29年度は以下の結果を得た. β変換器に類似した,黄金比変換器 (Golden Ratio Encoder)の量子化誤差を評価した.黄金比変換器は,アナログの実数値の黄金比を基数とする展開を出力するアナログ・ディジタル変換機である.β変換器の弱点は,基数β( 1<β< 2) が設計目標値からのずれを補正するためベータ値の実現値の推定が必要となることであった.黄金比変換器は,この弱点を克服している.したがって,本研究の目標とする設計揺らぎに頑健な乱数生成の実現法として黄金比変換器は優れた候補である.今年度は,黄金比変換器の動作を解析し,二乗平均量子化誤差の理論値を与えるとともにシミュレーション結果とよく一致することを確認した. 2つの相関のある乱数列を,相関のない乱数列に変換するという多端子乱数生成問題を考察した.具体的には,低密度パリティ検査符号を用いる場合に,検査符号に含まれる1の割合と返還後に残る2つの乱数列の間の相関の理論値を求めた.数値シミュレーションの結果は,理論値とよく一致した. 研究分担者の篠原は,β写像のフレッドホルム行列式を利用することにより,β変換器による平均二乗量子化誤差の精密な理論評価を与えた.また,研究代表者と篠原は,2017年7月18日並びに11月22日に打ち合わせを行い,β変換器の量子化誤差を精密に評価する方法を議論した. 研究分担者の傘は,β変換器の実装に取り組み 90ナノメートル CMOS回路への実装を行った.サンプリングレート 3.3MSamples/秒, 有効分解能 (ENOB) 10.45 bit を達成した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ベータ変換器を用いた乱数生成について,パイプライン型β変換器による実現法を平成28年度に達成した.素子値のゆらぎにロバストな乱数生成器を達成するには,β変換器よりも黄金比変換器のほうが適していることが分かったので,黄金比変換器の動作の解析を行った.したがって当初予定とは実現法を変更することになるが,当初目標の実現に近づいていると考えられる.
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年度は,黄金比変換器を用いた乱数生成を提案する.黄金比変換器では広範囲の素子値の揺らぎに対し,基数が黄金比に固定されるので,乱数生成器として優れた品質を保つものと期待される.生成された乱数列の,一様分布からのずれの理論評価,変換のレートの理論値を与える.
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Causes of Carryover |
研究成果発表のための旅費の支出が増える見込みであったため前払い請求を行った.一方,物品費と人件費,その他については支出を抑えた.最終年度に使用する予定であるため次年度使用額として残した.
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Research Products
(14 results)