2016 Fiscal Year Research-status Report
概日リズムによる性周期制御の数理モデルとその不妊治療への応用
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16K00343
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
徳田 功 立命館大学, 理工学部, 教授 (00261389)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石村 憲意 立命館大学, 理工学部, 助教 (50779072)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 概日リズム / 性周期 / 同期 / 引込み / 振動子 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究代表者および連携研究者らの最近の研究で,個体の概日リズムにあわせて適切な環境サイクルを設定することで性周期のリズムが大幅に改善され,妊娠率が飛躍的に向上することが明らかとなった[Takasu et al., 2015].この知見を拡張し,概日時計による性周期の制御のメカニズムを包括的に理解することによって,不妊治療のブレークスルーに結びつけることを目的とし,本年度は以下の課題に取り組んだ. 1. 行動データ分析による性周期判定法の開発: 実験動物にはマウスを用い,野生型のメス行動リズムを計測し,性周期サイクルの規則性を自動検出するアルゴリズムを開発した.特に赤外線計測データでランニングホイールがある場合とない場合との差異に着目した.ピリオドグラムをベースに統計的に優位な周期性を検出する方法を作成し,行動データ解析に応用した.またマイクロナイフで視交差上核(SCN)を周囲の組織から孤立させたメス個体についても解析を行い,SCNが性周期の制御に関わっているかを検証した. 2. SCN数理モデルの構築と最適環境予測: 中枢時計である視床下部視交叉上核(SCN)の数理モデルを構築した.SCNスライス上の発光レポーター計測データより,多数のSCN細胞のネットワークダイナミクスを抽出し,結合振動子のモデルを構築した.個々の細胞の数理モデルには,振幅方程式を用い,振動特性パラメータは分散培養データの解析結果を用いて設定した.ネットワークダイナミクスでは,スライスデータで観測された固有周期および同期特性を反映するように,ネットワーク構造および結合強度を決定し,行動実験で計測された位相応答特性を再現できるようなSCN組織の数理モデルを構成した.特に、加齢の影響は,個々の細胞特性の変化ではなく,ネットワーク結合の弱化による内的脱同調によるものである可能性を示唆した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画書で書いた内容の通りに進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
1. 分子生物モデル: 平成28年度に構築した振幅モデルを分子生物モデルに発展させ,単一細胞内で,コアの時計遺伝子である,Per, Cry, Bmal1, CREBを考慮にいれた数理モデルを構築し,それらをVIP, AVP, GABAなどの結合因子でネットワーク化する.mRNA転写速度,タンパク質分解速度,翻訳速度などのパラメータを非線形最適化により同定する.構築されたモデル方程式に基づいて,遺伝子変異体やSCNの加齢プロセスを模擬し,加齢によって概日リズムがどう変化し,性周期に非周期性を生み出すかを解明する.特に,GnRH (gonadotropin releasing hormone)が1日のある時間帯に概日リズムから信号を受けるとする仮説の下,SCNがGnRHに信号を送る数理モデルを構築し,実際のマウスのデータと整合をとることによって,仮説を検証する. 2. SCN数理モデルの実験検証: 1)で構築するSCN数理モデルに基づいて予測される最適な明暗条件下で,メスのマウスを飼育し,概日リズムおよび性周期の規則性が改善されるかを実験検証する. 3. ヒト性周期の規則性検定: マウスに対する手法のヒトへの拡張を検討する.最適環境による概日リズムと性周期の安定化をヒトに応用することを考えた場合,24時間の社会生活を送るヒトに対して,環境サイクル長を制御することは難しい.そこで,明暗比率などの光の照射方法等を調節し,個人の位相応答曲線から,最も効率的に引込みを行う明暗サイクルを求める.明暗比だけでなく,食事リズムやメラトニン服用のタイミングなども検討する.
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Research Products
(7 results)