2016 Fiscal Year Research-status Report
高齢者介護施設選択のための意思決定支援システムの開発
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16K00346
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Research Institution | Fuzzy Logic Systems Institute |
Principal Investigator |
椎塚 久雄 一般財団法人ファジィシステム研究所, 研究部, 特別研究員 (20100307)
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Project Period (FY) |
2016-10-21 – 2019-03-31
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Keywords | ソーシャルキャピタル / 感性価値 |
Outline of Annual Research Achievements |
まず、高齢者介護施設への入居は、いろいろな面で入居者の心理的負担があるから、入居に関する評価項目にはそれらの要因を十分に考慮することが求められている。そこで、利用者を取りまく環境(入居者、施設、家族等)を理解するための手法について再検討を行った。 次に、施設選びのチェックポイントについて再考を行った。チェックポイントは多々あり、どこまでを考慮に入れるかは、ケースバイケースで一意的に示すことの難しさを認識した。重要な諸事項として次の諸項目の妥当性・有効性の再検討を行った:運営理念/費用/立地/入居条件/規模/設備/医療体制/介護サービス/食事、その他サービス/居住空間/入居者の表情/苦情対応、入居者間のトラブル処理/スタッフ、施設長の人柄/退去要件/情報公開、経営状況。入居後に途中退去する場合のトラブルの理由は、入居契約時の「契約条件」確認の不透明さが重要な要因になっている。現実的には、契約条件の承諾を確認する手順を踏んでいるにもかかわらず、何故トラブルになるのかについては、介護施設の諸項目間は複雑系として捉えることを検討する必要があることが明らかになった。それは、ホームと入居者側の合意形成の本質的な不整合構造を明らかにする上でも重要な視点であることも明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
高齢社会の諸問題をさらに検討した結果、新たな課題が浮かび上がってきた。それは、施設に託する家族の罪悪感に関する問題である。たとえば、「姥捨て山」感を出さない施設のデザインはどうあるべきか、等の課題が重要であることが判明した。従って、高齢者施設を選ぶ場合はそのようなデザインの視点からの評価基準をどのように設定するかが問われていることが明らかになった。しかし、それはある意味新しい方向性を見出したときことで歓迎されるべき事項である。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究における、高齢者施設の選択の問題に関する当初の数理的手法は、評価項目の間に存在する「単調性」に注目し、それらがファジィ測度を構成していることから、総合評価としてファジィ積分の応用を考えていた。もちろん、これについては今後も継続して行っていくが、いわゆる評価項目間の因果関係に注目することが重要な要因として明らかになった。そのための方法として、システム思考の考え方を用いて全体俯瞰的な視点から「システムダイナミクス」として複雑系の要因も考慮しつつ研究を推進して行く予定である。
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Causes of Carryover |
当該年度は、科研費採択の決定が10月末であったため、研究に取りかかったのが11月からであったために次年度使用額が生じました。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
効果的な研究推進を行って、有効に研究費を使用して行く予定です。
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