2017 Fiscal Year Research-status Report
高齢者介護施設選択のための意思決定支援システムの開発
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16K00346
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Research Institution | Fuzzy Logic Systems Institute |
Principal Investigator |
椎塚 久雄 一般財団法人ファジィシステム研究所, 研究部, 特別研究員 (20100307)
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Project Period (FY) |
2016-10-21 – 2019-03-31
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Keywords | 高齢者施設選択 / 階層的ファジィ積分 / マルチレベル階層ダイヤグラム / 感性評価 |
Outline of Annual Research Achievements |
高齢者施設の選択はきわめて重要であるにもかかわらず、業者の言いなりになったり家族や近親者との合意もなく進められている場合も少なくない。そのため、科学的な方法で高齢者施設を選定することは非常に重要な課題であるが、現状ではそのうまい科学的な方法は存在していない。ここでは、その施設の科学的な選択手法として、人間の多様な評価項目間の相互作用を考慮して、ファジィ積分による総合評価による方法について研究を進めてきた。研究を進めて行くに従って数理的手法に関する新たなことも分かってきた。その1つとして、2017年度に実施して得た主成果として、評価計算の簡略化を検討した結果、複数の代替案から最適なものを1つ選択するAHPの手法の相互関係を考慮してファジィ測度を導入したHFI(階層的ファジィ積分)を改良した方法を提案している。HFIは椎塚によって既に提案されている方法であるが、HFIの利点は「AHPに1つパラメータを付け加えた点」である。AHPは「各評価基準の重要度」を扱うが、HFIでは「各基準の重要度+相互作用の値(λ)」としている点である。つまり、今回採録された日本感性工学会論文誌での手法は単一階層のものを複数階層に拡張し、各階層での重要度と各階層の相互作用の値(λ) を与えれば、φs変換でファジィ測度が決まる点である。事例として、高齢者施設の選択は「費用、機能、楽しみ」の3つを考慮して、さらにこれらは「一時費用、月額費用、介護要員の充実、リハビリの充実、入浴の充実、習い事の充実、食事の充実」等に階層化することができる。それは、通常のAHPと同様にすべての重要度を求め、さらに全体をまとめる相互作用の値と費用、機能、楽しみの相互作用の値の計4個が必要になる。この手法を用いると評価計算の手間が軽減でき高齢者施設の最適選択のために応用できることが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究ではファジィ積分の手法を用いているが、ファジィ積分の計算手法についてはこれまでも種々提案されている。しかし、それらはいわゆる「理論的」な視点からの研究が主な内容であり、実際の現場レベルでの応用はほとんど見られないのが実状である。そのような観点から、今回ファジィ積分の計算法について種々検討した結果、ファジィ測度の求め方についての過去の手法を用いることが、本研究の新しい道を開くことが判明した。次年度はさらなる進展を目指して研究を進める予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
現在までの進捗状況でも述べた通り、ファジィ積分の計算法の新しい手法を取り入れることを検討している。それと同時に、高齢社会の問題の奥の深さを痛感し、この種の問題はたんなる高齢者施設の選択の問題に留まらず、さらにその枠を飛び越えて新たな課題のが横たわっていることが判明したので、それらについて研究を進めていく予定である。それは次の2つが考えられることが明らかになった:①従来タイプに縛られない新しい施設のあり方、②施設に入居するしないに係わらず高齢者に希望を与える代替現実ゲーム(ARG)の応用による「高齢者活性化モバイルシステム(EPAS:Elderly person activation system)」の構築。特に、②のEPASは今後の高齢者会における認知症予防にもつながる重要な課題になるものと思われる。
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Causes of Carryover |
当初予定していた国内・海外出張が都合により変更になったため、平成30年度にその分が加算されるようになりました。
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