2016 Fiscal Year Research-status Report
音声・環境音を早期から識別できる手法の開発による音環境認知支援システムの実現
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16K00352
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
岩城 護 新潟大学, 自然科学系, 准教授 (20262595)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 音環境認知支援 / データベース / 漸次的な音認識 |
Outline of Annual Research Achievements |
これまで検討してきた話者、感情、環境音の自動認識法の原型に対して、その適用範囲の拡大を目的として、特徴量とアルゴリズムの改良、精度改善、さらには携帯端末への実装のための効率改善を検討した。また音の種類を増やすために、生活環境音を調査・収集した。 (0) 音声・環境音収録と知覚属性のラベリング: 生活環境における音環境分析のために、研究協力者(16人)に対して、1週間にわたる生活環境音調査を実施した。研究協力者が影響を受けていたと思われる生活環境音の種類を分類した。同意が得られた研究協力者(6人)からこれらの生活環境音を収録し、データベースを構築した。また各収録音に対して聴取実験を行い、音の印象に対する評価を付した。本研究成果に関して、国内学会(1件)において発表した。 (1) 音声の話者性、感情の漸次的な認識法の適用範囲拡大: 感情認識の適用範囲を拡大するために、有声音からなる単語に対する感情音声を対象として特徴分析を行った。研究協力者(18人)に対して、知覚された感情と情動パラメータ(Arousal, Valence, Dominance)を調査した。得られた回答に基づいて研究協力者が知覚した発話者の感情と発話者が意図していた感情との間に生じたずれの分析を試みた。また、聴取者ごとにAVD情動パラメータの分布に生じる違いの分析を試みた。 (2) 環境音の漸次的な認識法の適用範囲拡大: RWCによる既存の環境音データベースのデータを対象として、漸次的な環境音認識法を提案しその認識性能を評価した。瞬時的に得られる特徴時系列を更新過程付きベイズ推定で識別した。音の開始から150ミリ秒後の認識結果は既にほぼ正解に到達しており、音源の変化に対しても追従できることが示された。7種類の環境音に対する平均認識率は約91%であった。本研究成果に関して、国際学会(1件)において発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
話者分析、感情分析のための音声の収録に遅れが生じた。その理由は主に次の2つである。(i) これまでに準備していた感情音声に対する評価値の分類に誤りが見つかった、(ii) この誤りの修正し再度特徴分析することを優先した。研究計画の大きな見直しは必要ないことが確認できた。感情音声の分析や有用な特徴の探索は継続中である。また、環境音も含めて音データの収集は研究期間を通じて継続的に実施する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
環境音と感情音声の分析を先行させて遅れを解消する。次に、音認識の頑健性を改善するために、音源方位推定や音源分離との融合を試みる。話者交代や感情変化に対する頑健性を改善するために、話者認識と感情認識の融合を試みる。代表的なタブレットPC に実装する。音データの拡充のために音声・環境音を更に収録しデータベース化を継続する。 (3) 音源方位推定と音源分離法の開発: 実際の音環境では複数の音源が存在しているが、人間の聴覚は音の意味判断をする前からある程度の取捨選択をしている。そこで両耳聴による音源の到来方位推定のモデルに着目し、音認識の頑健性を改善したり、音源方向提示のための情報を得る。 (4) 認識特性の検討: 認識実験用のコンピュータを用いたコンピュータシミュレーションによって、提案手法の認識特性を評価する。さらに、人間による認識特性との相違点を比較し、開発・改良目標の指針を得る。 (0') 音声・環境音収録と知覚属性のラベリング: 音データの拡充のために音声・環境音の収録とデータベース化を継続する。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由は主に次の2つである。(i) 本年度の計画に遅れが生じたために、識別実験用コンピュータと端末アプリ開発用コンピュータの購入延期を延期した。本機器で実施する予定だった計画の一部を次年度に延期することとしたので本年度の支出が生じなかった。(ii) 実験協力者への謝金を予定していたが、謝金の支出なく協力が得られることとなったため、本年度の支出が生じなかった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度では本年度に生じた計画の遅れを解消する予定である。そこで、次年度使用額に生じている金額は、延期していた必要物品の購入を次年度において行うために使用する予定である。一方、次年度の当初計画に変更はないので、当初計画通りに使用する予定である。
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Research Products
(3 results)