2016 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
16K00361
|
Research Institution | Meijo University |
Principal Investigator |
池本 有助 名城大学, 理工学部, 准教授 (10377822)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
Keywords | ネットワーク / 制御工学 / ロボティクス |
Outline of Annual Research Achievements |
近年,データ計測技術の発展に伴い,人工物や生物における物質や情報の流れを幾何学的に表象し,その成り立ちを調査する研究が盛んに行われている.とりわけ,それらのネットワークは,リンクがランダムな構造ではなく,むしろモジュラー構造を有していることが明らかになってきた.ここで,モジュラー構造とは,モジュール内の密な繋がりとモジュール間の疎な繋がりを示す幾何学的構造の特徴であり,モジュラー構造を有するネットワークは一般的にモジュラーネットワークと呼ばれている. モジュラーネットワークが果たす機能的役割が示唆されつつも,その成り立ちや進化動態は明らかになっていない.人工物設計では,モジュールの追加や削除といったシステム拡張(scalability),新規モジュールの追加を許容する選択可能性(optionality),およびサブシステムがパッケージ化されたことによるモジュールの流用がもたらす経済性(economic efficiency)を期待し,設計者が意図的にモジュール方式をネットワーク設計に導入することが多い.一方で,生物システムにおけるモジュラーネットワークは,ネットワーク構造全てを観測できる設計者が不在という点で,人工物設計とは異なる成り立ちを暗示している.我々は,モジュラーネットワークの進化動態を探求することは,自律的なネットワーク形成理論を構築する上で有益であると考えている. 本研究では,隠れノードを含むモジュラーネットワーク進化モデルを提案する.提案するモデルは,各ノードにおける非線形的ノイズ低感度の実現が,隠れノードの符号的な振る舞いを助長することを進化シミュレーションによって示すとともに,ノイズ低感度設計の副産物として,モジュラーネットワークが進化し得ることを示した.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
H28年度では,線形ネットワークから非線形ネットワークにおけるモジュラー構造の進化に関しての理論分析が進んだ.現在,それらの理論をロボット制御への適用を試みている,特に四脚ロボットの機構系内部力学モデルをモジュラー構造ネットワークで表現することに焦点をあてている.
|
Strategy for Future Research Activity |
本研究では,飽和的振る舞いを示すノードの活性関数の非線形性とノイズに対する低感度設計に着目し,隠れノードを含むモジュラーネットワーク進化モデルを提案した.提案したモデルでは,各ノードにおける非線形的ノイズ低感度の実現が,隠れノードの符号的な振る舞いを助長することを進化シミュレーションによって示した. 本研究で用いたネットワークモデルは,極めてシンプルであるにも関わらず,モジュラーネットワーク進化が観察され,ノイズに対するロバストネスとネットワーク進化の関係に関してより良い理解へつながることを期待している.本研究のモデルは,ネットワーク進化におけるノイズが果たすポジティブな役割を示唆している. これらの理論的考察をロボット制御のための機構系内部力学モデル獲得様式に適用することを試みている.そのため,実証実験のための四脚ロボットの制作および実験システムの構築を推進している.
|
Causes of Carryover |
ロボット制作のためのデバイス選定,および実験システムのための機器選定を精査し直すこととなり,購入が遅れているため.
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
ロボット実験システム,特に,制御ネットワークをFPGAに実装することを踏まえ,そのデバイス選定をロジック数やクロック数などを加味して,慎重におこなうえで,適宜デバイスを購入する.
|