2017 Fiscal Year Research-status Report
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16K00373
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Research Institution | Kyushu Institute of Technology |
Principal Investigator |
夏目 季代久 九州工業大学, 大学院生命体工学研究科, 教授 (30231492)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 音楽嗜好性 / 脳波 / 脳波パワー / 位相同期 / サイバーボール / 音楽聴取 / 嗜好判断 / バイオマーカー |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年測定した脳波データに関して、位相同期性が音楽嗜好性で異なるかどうか,明らかにした.位相同期性の指標としては,phase locking value (PLV)を用いた.その結果,1)嗜好判断時に、PLVが好き嫌いで有意に異なる電極間ペアが見つかった.2)その時,昨年度報告したEEGパワーでは違いが無い部位でも,PLVでは有意な電極間ペアがあった.3)嗜好判断時,コントロール時と比較して,有意にPLVが変化した電極ペアがθ、α、β波で見つかった.4)θ波PLVが変化した電極ペア数が嗜好判断時に減少した時,“好き”と判断する傾向があった.以上の結果より,昨年度報告したEEGパワーに比べて位相同期性の方が音楽嗜好性を判別するバイオマーカーとして適していると思われる. また加えて、音楽嗜好性及び嗜好性脳波に対する気分変化の影響を調べた。3名の健常男性(24.0±2.0歳(年齢±標準偏差))が実験に参加した.昨年度と同様の実験を1日に2回行い、その間にサイバーボール課題と呼ばれる課題を行った。サイバーボール課題は、社会的疎外感を与え、気分を変化させると考えられる課題である.結果、1)気分変化課題によって、参加者の不安度は上昇した.2)気分変化による音楽嗜好変化は1, 2曲程度で評価点に有意な変化はなかった.3)音楽嗜好の変化は気分変化により参加者毎で異なった。4)気分変化による、参加者毎の音楽嗜好性脳波変化の共通性は音楽聴取時よりも嗜好判断時の方が増加した。5)音楽嗜好性脳波は、聴取時・嗜好判断時のどちらも嫌い曲のパワースペクトルが有意に減少した。以上の結果から、気分変化課題は音楽嗜好性の変化には影響をあまり与えないが、音楽嗜好性の脳波には影響を与えると考えられる.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
位相同期値が脳波パワー値より、嗜好判断の良いバイオマーカーと示唆される結果を示し、さらに音楽嗜好性関連脳波が気分により変化する事を明らかにしたため
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Strategy for Future Research Activity |
【研究実績の概要】で見つかった位相同期(PLV)には、体積伝導による成分も含まれる.従って、それらを除いた、位相同期指標である、PLI(Phase locking index)の音楽嗜好性バイオマーカー有効性を調べる. 先行研究では、快不快の脳波バイオマーカーとして前頭α波の左右半球の非対称性が示唆されている.今回、私たちが行っている音楽嗜好性においても、そのような非対称性がみられるか明らかにし、先行研究との比較を行っていきたい. 以上の得られた結果をもとに、論文にまとめる予定である. また計画書に記載した実験である気分変化課題を行った所、気分変化により、音楽嗜好性は変化しなかったが、嗜好性関連脳波が変化する事を明らかにした.さらに参加者を増やし気分変化課題前後で、音楽嗜好性及び音楽嗜好性脳波がどのように影響を受けるのか、明らかにしていきたい. さらに、計画書に記載しなかったが、今回の気分変化課題は、参加者の不安度を上げる課題であった。逆に明るい気分にした時に音楽嗜好性、嗜好性脳波に、どのような変化が起こるか明らかにしていきたい.
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Research Products
(7 results)