2018 Fiscal Year Annual Research Report
Music preference, experience and empathy - psychological, sociological, behavioral genetical study
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16K00383
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Research Institution | Osaka Shoin Women's University |
Principal Investigator |
豊島 久美子 大阪樟蔭女子大学, 児童教育学部, 准教授 (00565450)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
福井 一 奈良教育大学, 音楽教育講座, 教授 (10199185) [Withdrawn]
前田 則子 奈良教育大学, 音楽教育講座, 教授 (30273824)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 共感性 / 音楽嗜好 / オキシトシン受容体遺伝子多型 / パーソナリティ |
Outline of Annual Research Achievements |
近年、他者の“心”を推察する能力である“共感性”の欠如に起因する、対人関係や社会生活上のトラブルが社会問題化している。そのため国内外を問わずヒトの共感性についての研究が急速に増加しており、分野を超えて学問の中心テーマになりつつある。特に、生物の行動や情動反応に、遺伝子多型(遺伝子配列の個体差)が影響を及ぼしていることが明らかになっている。 本研究は、ヒトが社会を維持していくために不可欠の能力である共感性と音楽嗜好との関係を明らかにすることを目的としたパイロットスタディである。音楽と共感性の関係を心理学・社会学および行動遺伝学的に調べた。共感性の生物学的指標としてオキシトシン受容体遺伝子の多型を用い、音楽嗜好やパーソナリティ、音楽行動(音楽経験等)との関係を分析した。 その結果、音楽嗜好とパーソナリティ(外向性、勤勉性)には有意な差があり、音楽嗜好の程度が強いほど、外向性や勤勉性が高いとの結果になった。また、オキシトシン受容体遺伝子多型のタイプとパーソナリティ得点にも有意な差があった。共感性の高いタイプの遺伝子型をもつ被験者は、パーソナリティ得点も高い値を示した。 本研究の結果により、音楽嗜好とパーソナリティとの関係、またパーソナリティとオキシトシン受容体遺伝子との関係が明らかになった。一方、オキシトシン受容体遺伝子多型と音楽嗜好との間には、有意差はなかった。本実験では、分析対象としたサンプル数が少なく結果を一般化するには至らない。今後は、性別や年齢構成に配慮してサンプル数を増やし、さらなる検証を重ねていく必要がある。
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