2016 Fiscal Year Research-status Report
アルツハイマー病の疾患アトラクター・遺伝子調節ネットワーク解析による生命情報解析
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16K00385
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
荻島 創一 東北大学, 東北メディカル・メガバンク機構, 准教授 (40447496)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 生命情報 / 疾患アトラクター / アルツハイマー病 / 遺伝子調節ネットワーク |
Outline of Annual Research Achievements |
初年度の平成28年度は、アルツハイマー病における遺伝要因と環境要因の複雑な相互作用(G×E)の推定、また、遺伝要因・環境要因の状態空間における疾患発症・進行に係る関連解析の有意確率に基づくポテンシャルの推定について解析プログラムの開発や方法論の検討を行った。 アルツハイマー病について、遺伝要因、生活習慣や環境暴露等の環境要因について分割表を作成し、Cochran-Mantel-Haenszelカイニ乗検定により疾患の発症との関連解析を実施し、遺伝要因と環境要因の複雑な相互作用(G×E)の推定を行うための解析プログラムを開発した。関連解析により得られたP値について、ヒートマップを描画し、クラスタ解析の上で、遺伝要因と環境要因の相互作用(G×E)の解析を行うための解析プログラムを開発した。 得られた遺伝要因と環境要因の相互作用(G×E)について、高次元変数選択法により疾患の発症・進行に係る相互作用を構成する遺伝要因及び環境要因を得る方法論の検討を行った。これにより遺伝要因および環境要因をあわせた要因の次元を圧縮することができる。これらの遺伝要因g1, g2,…, glおよび環境要因e1, e2,… emは疾患の発症に関連する要因と考えられる。これらの遺伝要因・環境要因の状態空間s=(g1, g2,…, gl; e1, e2,… em)について主成分分析法を実施したうえで、その状態に対応する疾患の発症・進行との関連解析の方法論の検討を行った。得られた疾患の発症・進行に係る有意確率によりポテンシャルの推定を行うための計算式を開発した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Cochran-Mantel-Haenszelカイニ乗検定により疾患の発症との関連解析、遺伝要因と環境要因の複雑な相互作用(G×E)の推定を行うための解析プログラム、関連解析により得られたP値について、ヒートマップの描画、クラスタ解析の上で、遺伝要因と環境要因の相互作用(G×E)の解析を行うための解析プログラムを開発するなどおおむね順調に進展している。 また、高次元変数選択法により疾患の発症・進行に係る相互作用を構成する遺伝要因及び環境要因を得る方法論、また、遺伝要因・環境要因の状態空間s=(g1, g2,…, gl; e1, e2,… em)について主成分分析法と疾患の発症・進行との関連解析の方法論の検討を行い、疾患の発症・進行に係る有意確率によりポテンシャルの推定を行うための計算式については開発するなど、おおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度の研究の検討を実施し、遺伝要因・環境要因の状態空間におけるポテンシャルの推定精度を向上させる。続いて、アルツハイマー病について、正常または疾患の発症・進行にともなう細胞集団の遺伝子発現データを用いて、遺伝子発現ポテンシャルの推定を行う。遺伝子発現データについて、正規化等の前処理を実施したうえで、乗法モデルにより、時系列の発現トレンドと、アルツハイマー病について、正常または疾患の発症・進行にともなう細胞集団の遺伝子発現トレンドに分解し、抽出する。正常または疾患の発症・進行の段階の間で有意な発現変動遺伝子を同定する。これにより遺伝子発現要因の次元を圧縮することができる[図7-2]。これらの遺伝子発現要因ge1, ge2,…, genは疾患の発症に関連する要因と考えられる。得られた遺伝子発現要因の状態空間t=(ge1, ge2,…, gen)について、主成分分析等を実施したうえで、その状態に対応する遺伝子発現ポテンシャルの推定を行う。
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Causes of Carryover |
初年度の平成28年度は、本研究課題の基礎となる、アルツハイマー病における遺伝要因と環境要因の複雑な相互作用(G×E)の推定、また、遺伝要因・環境要因の状態空間における疾患発症・進行に係る関連解析の有意確率に基づくポテンシャルの推定について解析プログラムの開発や方法論の検討を実施した。小規模なデータでの解析プログラムの開発や方法論の検討であり、解析サーバ等の新規の購入は不要であった。また、これらの解析プログラムの開発や方法論の検討にあたって、平成29年度に予定されている国内外の学会・研究会で情報収集、成果発表するのがより効果的であることが平成28年度途中で判明したため、平成28年度については旅費は不要であった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成29年度は、平成28年度の本研究課題の基礎となる解析プログラムの開発や方法論の検討を受けて、大規模なデータでの解析を実施するため解析サーバ等を購入する予定である。また、その国内外の学会・研究会において情報収集、成果発表をする予定である。
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Research Products
(6 results)