2018 Fiscal Year Research-status Report
統計モデルによるゲノムワイドな遺伝子転写カスケード解析法の開発
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16K00387
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
大里 直樹 大阪大学, 情報科学研究科, 特任助教(常勤) (50509536)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 転写制御 / 転写因子 / 遺伝子発現 / エンハンサー / クロマチン相互作用 / CTCF / オープンクロマチン / エピゲノム |
Outline of Annual Research Achievements |
CTCFは、クロマチン相互作用のアンカーでForward-reverseの向きで多くDNAに結合する。またエンハンサーの働きをクロマチンループ内の遺伝子に制限するインシュレータとして働く。 本研究では公共データベースの実験データを用い、転写因子のDNA結合配列を様々なデータベースや論文から収集し、遺伝子の転写発現量に影響するDNA結合配列を探索した。遺伝子の上流および下流にForward-reverseやReverse-forwardの向きで多く存在し、遺伝子の転写発現に影響する転写因子のDNA結合配列を調べた。その結果、ヒトの単球やT細胞において、CTCFと共にクロマチン相互作用に関わるコヒーシン(RAD21, SMC3)のDNA結合配列も向きの偏りを示し、他のクロマチン相互作用に関わる転写因子も向きの偏りを示した。T細胞でトランスポゾンのDNA配列も向きの偏りを示し、これらの配列がインシュレータやエンハンサーに関わることが報告されている。約200の転写因子が向きの偏りを示し、転写発現量に影響することが示唆された。また向きの偏りを示す転写因子のDNA結合配列の共局在を調べた結果、CTCFとコヒーシンのペアを含む様々な配列の組み合わせが有意に多く観察された。研究内容を論文にまとめて、先にプレプリントサーバ(bioRxiv)で発表した。 昨年度に発表した論文内容について、情報処理学会バイオ情報学研究会と同じく情報処理学会から合わせて二つの賞をいただいた。また本論文発表の1週間後に、ドイツの大学の研究者から論文内容にとても興味をもった(highly impressed)とメールがあり、アルツハイマー病に関わるSNP、エピゲノム、転写因子のDNA結合配列の関係について共同研究を行い、疾患に関わる新しい知見を得ることができ、他の疾患も同様に解析できると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
エンハンサーとプロモーターの相互作用に関わり、遺伝子の発現に影響する転写因子(DNA結合タンパク質)の解析について、論文にまとめてプレプリントサーバ(bioRxiv)で公開した。解析の追加や修正を行い、論文を更新している。実験による検証を行うために共同研究を進める可能性がある。国内外の学会で研究発表を行い、とても興味深い研究であることが確認できた。予想以上に多くの転写因子が見つかったため、解析条件を検討し、他の実験データで検証を進めている。 昨年度に私が出版した論文にとても興味を持った海外の研究者と始めた、アルツハイマー病に関するSNP、エピゲノム、転写因子のDNA結合配列の関係を調べた共同研究も、疾患と関連する新しい知見を得ることができ、論文にまとめて投稿した。
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Strategy for Future Research Activity |
エンハンサーとプロモーターの相互作用に関わり、遺伝子の発現に影響する転写因子(DNA結合タンパク質)の解析について、論文の改訂や修正を終えて、投稿できるようにする。プレプリントサーバ(bioRxiv)で先に論文を公開している。生物実験研究者と共同研究の可能性について相談する。国内外で研究発表を行い、他の研究者と意見交換を行う。本研究結果に基づき、転写カスケードを予測するための統合解析を進める。クロマチン相互作用の実験データ等と比較して、予測結果の正しさを検証する。これらの研究により、転写因子のDNA結合配列や転写カスケードの解析に必要な基礎的な解析方法や条件について、色々と検討し、今後の研究に活用できる。既知の転写因子のDNA結合配列だけでなく、転写因子の複合体も含めた、新規のDNA結合配列を見つけるために、k-mer法を用いた解析を始める。 昨年度に私が出版した論文にとても興味を持った海外の研究者と始めた、アルツハイマー病に関するSNP、エピゲノム、転写因子のDNA結合配列の関係を調べた共同研究の結果を論文として発表する(論文投稿中)。アルツハイマー病の新しい治療標的となるか、新しい治療方法の開発も含めて他の研究者と相談したい。他の疾患について、同様の解析を進めるための準備を進める。
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Causes of Carryover |
転写因子データベースTransfacの年間ライセンス費用が777600円で、来年度の交付予定額では不足するため、その購入費用に使用する予定です。
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Research Products
(8 results)