2019 Fiscal Year Annual Research Report
Methods for controlling biological networks using mathematical models
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16K00391
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
田村 武幸 京都大学, 化学研究所, 准教授 (00437261)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 代謝ネットワーク / アルゴリズム / 流束均衡解析 / 数理モデル / 反応削除戦略 |
Outline of Annual Research Achievements |
最終年度:これまでの研究成果の対外発表を中心に活動した。6月に情報処理学会バイオ情報学研究会で口頭発表、9月の生命医薬情報学連合大会で2件の口頭発表、11月のシステム生物学国際会議で1件の招待講演とポスター発表、1月のブーリアンネットワーク国際シンポジウムで基調講演を行った。 期間全体:数理モデルによる代謝流束解析は、微生物を用いた有用化合物生産のシミュレーションでしばしば用いられる。近年のDNA合成技術の発達に伴い、有用化合物を生産・増産する最小代謝ネットワークの設計手法が近い将来重要になるかもしれない。そこで本研究では、細胞成長率と目的化合物生産率に関する制約を小さなグリッドで表し、グリッドごとに流量総和最小の代謝流束分布を計算して、目的化合物を効率的に生産する代謝ネットワークを設計する手法GridProdを開発した。iAF1260はゲノムスケールの大腸菌の代謝流束解析に基づく数理モデルであり、微生物の代謝シミュレーションにおいて、しばしばベンチマークとして用いられる。GridProdの性能を評価するために、iAF1260から不要な反応を削除して代謝ネットワークを設計する問題に対して、GridProdと既存手法が設計するそれぞれの代謝ネットワークの目的化合物生産能力を比較した。細胞成長率が最大化される最も一般的な問題設定において、目的化合物生産率の最悪ケースを考慮した場合、シミュレーション上、従来手法による設計では実験に用いた全目的化合物の50%以下しか生産できないのに対し、GridProdによる設計では90%以上生産が可能であった。また計算機実験により、細胞成長率と目的化合物生産率の制約を表すグリッドのサイズが、所望の代謝ネットワーク設計の可否に大きく影響することが示された。なおGridProdをMATLABで実装したソフトウェアをオンラインで公開している。
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